Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#113 想像力のある人が作るお料理、やっぱり独創的だった

『あたりまえのぜひたく 4』きくち正太 著 

 漫画家なのにプロ級の腕のマエスチョロ。今回も豪快です。

あたりまえのぜひたく。  ─きくち家 渾身の料理は……。─

あたりまえのぜひたく。 ─きくち家 渾身の料理は……。─

  • 作者:きくち正 太
  • 発売日: 2018/09/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

連休も開け、いきなり秋の気配到来。食べ物がますます美味しい季節、嬉しい限り。十五夜が明けると秋の和菓子が出てくるのも楽しみの一つで、栗のお菓子を毎年楽しみにしている。去年は茶巾と栗餡のものをずいぶん食べたのだが、今年はどんなお菓子が出回るのか楽しみでならない。

 

さて、やっぱり続きが読みたくなって4巻目を続けて読んだ。毎回10ほどのストーリーがあるのだが、今回気になったのは「うどん」だ。仕事で四国に行くことがあるのだけれど、どのお店もレベルが違う。こしがしっかりしていて食感がもちもち、どんなメニューを頂いても味に透明感があって満足感がある。それでいてもっと食べたくなるから不思議。思えばまだ一度もカレーうどんに挑戦していないということに気がついた。今度行く時はカレーうどんを食べてみたいと思う。

 

どこにでもあるうどん、今回は天ぷらだという。えびの天ぷらをのせて食べようというのではない。うどん自体を揚げてしまうのである。

 

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著者は自身を「マエスチョロ」と名乗っておられるのだが、毎回斬新なメニューに驚いてしまう。うどんを揚げて出汁を乗せるような料理だと思うけれど食感すら想像できず、食べたい!やってみよう!という気持ちがどんどん募る。

 

料理は茶道や華道のように「道」と言えるほどに深いし、極めるに終わりが見えない。その上、道具の扱い方から始末の仕方まで清廉さを求められるし、何より口に入るものであるから清潔でなくては食べた人間の命に関わる。誰にでも出来るけれど、難しい。料理にアートを感じたり、哲学を感じたり、宗教を感じたりと、本当に本当に奥深い。

 

この漫画ではメニューの独特さも読み応えの一つだけれど、作り方やちょっとしたコツまでをすっかりオープンにしているのがすごい。メニュー作りって想像力とひらめく力が合体して出来上がるものなので、レストランでは秘蔵だったりするのに惜しげもなく公開して下さるだけでなく、マンガがとにかくわかりやすい。

 

いつかこんな風に人に教えたくなるような料理を作れるようになりたい。