Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#094 江戸の和菓子の作り方について想像してみた

なごりの月 日本橋牡丹堂 菓子ばなし㈡  中島久枝 著

1年の約束で日本橋で和菓子の修行に行った小萩。鎌倉に帰った後のお話。

 

暑い日が続き、あまり和菓子よりはアイスが食べたい日々が続いている。でも今は和菓子の本だ。ひとまず読み進めようと牡丹堂の続きを読む。

 

主人公の小萩は鎌倉の旅籠の次女。和菓子の修行のために母方の遠縁にあたる日本橋は牡丹堂に1年の約束で奉公に出る。これが1巻目のお話。2巻目にあたる本書は一度鎌倉に戻った小萩がまた日本橋に戻るまでのお話。

 

小萩の姉のお鶴は器量よしで賢く、なんでもそつなくこなしてしまうのだろう。その姉が地元の名家に嫁ぐこととなり、小萩は祝いの菓子を作る。一から餡を焚き、店とは違い家庭用の小さな鍋で作るわけだから、何度にも分けて作業を行う。

 

今回の帰郷で母親の結婚前の話を聞き、小萩はなかなか打ち明けられなかった「また日本橋へ戻りたい」という思いを語る勇気を得る。家族に見送られ、小萩は晴れて牡丹堂へと戻る。

 

2巻目で面白かったのは鎌倉の描写だった。当時にしてみれば京の都からも遠く、江戸からも遠い鎌倉は、海の街で京~江戸間を結ぶ通り道に過ぎなかったようだ。鎌倉が田舎で人々も肌が黒く、声が大きく、粗野なイメージで書かれている。殊更田舎を強調しているのが面白かった。今の鎌倉とは大きな違い。

 

そもそも上菓子のようなものを日常で口にできる人は一部の裕福な人であったであろう。そもそも今のように農業も食品加工が効率化されていないわけだから、材料費が安価であったとも想像し難い。牡丹堂では10ほどの餡を作っているという話があり、最初は和菓子の種類により使い勝手が違うからだろうと思っていたが、材料費や季節の違いなどもあるだろうと思うに至った。

 

1巻目ではなんだかよくわからないなぁというのが正直な感想だったが、2巻目からは小萩の人柄が少しだけ見えてきた気がしたので続きも読んでみたいと思う。