子から親へ。エリンの立場はより重大なものとなる。
5冊続けて読んでみようと読み始めた『獣の奏者』の3冊目。副題として「探求編」とあるように、主人公の立場に新たに「親」という名目が加わり、求める解も複雑となる。
唐突に息子が登場し、読み手は「ああ、結婚したんだろうな。きっとあの人が夫となったんだろうな。」など推測しながら読み続けることになるのだが、息子がいきなり少年期からスタートするのでかなりの年数をはしょった印象を受けた。
読み始めた時からなんとなく感じていたことではあるが、上橋作品はファンタジーであり、今の世界の常識と重なるところは少ない。強いて言えば登場人物は私達が知る人間の習性と酷似というくらいだろうか。地名や物の名前は創作されたものである。
が、時々どこかの国の言葉や環境をヒントにしているんだろうな、というのを強く感じる文章に出会う。登場人物の名前もそうだけれど、特定の国を連想させる似通った言葉が出て来るたびに、すっと心が物語から外れていく瞬間があった。
たとえば、チャミという食べ物がある。後ろに括弧書きで(瓜)とあるのだが、黄色い瓜、彼の国ではチャメと言う。他にももっと連想しやすい言葉も出てくるのだけれど、これは一体なんだろう。
残り2冊あるわけだが、思ったよりも引っかかりになっていたようで急激に読書スピードが落ちてしまった。著者はアボリジニーの研究など文化人類学を学ばれた方とのことなので、海外の文化は風習にもお詳しいはず。でもなんだろう。ぐっと興味が萎んでしまった感が否めない。
でも、ちゃんと最後まで読みます。