Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#128 日本のファンタジーもそろそろアニメだけじゃなくて映画化して欲しい

獣の奏者 4』上橋菜穂子 著

完結編。ついに王獣と闘蛇の過去が明かされる。 

獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

獣の奏者 4完結編 (講談社文庫)

 

物語の終わりとなる完結編。開国の前のその昔、リョザを表す王獣とアルハンを表す闘蛇が戦いにより国を滅ぼしたという逸話がある。隠されていた史実がついにエリンの前に晒される。

 

動物の生まれ持った習性を人間の手で変えるべく改良された王獣と闘蛇だが、伝承されるべき秘事が王家の中でも断絶しており、なかなか答えを見出すことができずにいる。人工的な環境で子をなすことなどできなかったはずの獣たちも、かつての掟を踏襲せずに新しい目で向き合うことで、エリンのような探求者が生まれ始める。闘蛇にも王獣にもそれぞれ自然に近いような、いやむしろ遠いような新たなカテゴリーができるのだが、それが運命の鍵を握っている。

 

この4冊でストーリー自体は終わりとなった。一気にラストシーンが繰り広げられ、スピード感のあるクライマックスとなっている。

 

自然をテーマにしている小説は数多く、自然はただそこに在るように存在しているだけなのに、人はそこから美や恐怖を観る。この小説も同様で、畏怖を見た過去の人々の封印と2〜300年後の人々の向かい合い方が軸となっているように思う。

 

不思議に思ったのは、王獣にはそれぞれ名があるが、闘蛇は団体として意識されている。大きさの違い?数の違い?

 

それにしてもこの作品は映画化してもよさそうなのにな、と思った。Game of Thromeのドラゴンみたいなものができそうなのに。日本のファンタジーの歴史もどんどん視覚化に向いたものが出てきているのだなあと思った。