Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#030 30分で読める!自我を見つめる方法

 自己を肯定するために自己を否定する。

自己の肯定と否定と

自己の肯定と否定と

 

 和辻哲郎は日本の哲学者であり倫理学者。和辻も夏目漱石とのつながりのある学者である。若い頃に『風土』を読んだけれど、まだまだ理解ができなかった。それで今、少しずつまた和辻作品を読んでいきたいと思っている。

 

とはいえ、やっぱりとても深く深くゆっくり渓谷に降りていくような気持ちになるのは毎度のこと。ただ学生の頃とは違い字の上を目が滑るようなことが無くなったのは少し成長した証拠だろうか。

 

2020年5月末に私が理解するこの本の趣旨は、自分の個性の建立、自己の完成を目指すには自我をコントロールすることで大切で、それには愛が必要であるというものだと思う。

 

真実の自己は、意識的に分析する事の出来ないものである。それは様々な本能から成り立っているが、しかし確然とその本能の数をいうことは出来ぬ。これらの多様なる本能が統一せられた所に個性がある。従って個性もまた明確に認識せられ得るはずのものではない。

 

重い。深い。

人はどうしても自分を本位で接してしまうから、相手の気持ちも考えずに振る舞ってしまう。我をコントロールできないゆえの未熟さとでもいうのだろうか。

 

偉人の自己は強く人性的の色を帯びている。我の殻を堅くする所には真の征服も創造も行われない。大いなる愛は我を斥ける。そうしてすべて偉大なるものは大いなる愛から生まれる。偉人は凹んでいるように見える時に完全な征服を行っている。彼は愛を以て勝つのである。真に人格を以て克つのである。

 

愛とは我を斥けるものなり。

 

今回もわからない言葉をチェック。

 

苦痛が絶えず心を嚙んでいた。この苦痛は主我の思想によって転機に逢会するまで常に心を刺していたのであるが、転機とともに一時姿を隠した。

【逢会(ほうかい)

①あう。出会う。むかえる。「逢会」「逢迎」