Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#031 明治時代の使える勉強法

明治の中学生(今の高校生)も勉強はしっかりと。さて、どんな秘密があったのか。 

わが中学時代の勉強法

わが中学時代の勉強法

 

 天気が良くなり窓を開けているが、非喫煙者の私には窓の外から入ってくるタバコの匂いがなんとも辛い。今はたいていのビルは禁煙だし、都内は通りも禁煙エリアが多いので非喫煙者には優しい街になった。が、家で吸えない愛煙家たちが外で吸う。バルコニーで吸う、道路で吸う、駐車場で吸う。すれ違った車の窓から煙が漏れる。それが家の中に入ってくると非喫煙者は悲鳴を上げる。きっと愛煙家さんにはわかってもらえないと思うのだけれど、非喫煙者には10メートル先から流れてくるタバコの匂いにも気がつく。かすかに匂う程度ではなく、まとわりつくような苦手な匂い。わかってくれるかな。辛いのだ!辛いのだ!

 

ちょうどこの本を読んでいたら、外からタバコの匂いが入ってきた。もちろん窓から顔を出して主を探すような野暮なことはいたしません。ただ顔をしかめつつもお茶を入れ直し、そっと窓を閉めて煙が行き過ぎるのを待つ。ただ、ふと思った。昔々の文学者はタバコを嗜んでいたわけだ。そう思えばタバコの匂いも楽しめるかもしれない。

 

ということで、寺田寅彦である。

中学に上がるとき、なんと一度受験に落ちたんだそうだ。翌年もう一度受験をして合格。成績が良かったらしく、そのまま飛び級して2年生となる。1年留年分をちゃんと取り戻しているところがすごい。

 

朝から晩まで机にかじりついて勉学に励むような生活ではなく、わりと気ままに過ごしておられたとのこと。でも本が好きでやっぱりたくさん読んでいた。

 

すなわち書物をなるべく早く読んで、それで理解力を養うにはぜひ、たくさんの書物を読むように心がける必要がある。

 

読書は理解力を養う。小説を読んだり、地理関連の本もかなり読んだらしい。後に理学の勉強をすることになるが、きっと幼い頃から触れ親しんでいた分野を選ぶにもこの頃の読書が進路を決めるにプラスになっていたのかもしれない。

 

で、ここからがキー。

自分は学校にいるうち抜き書きということをよくやった。抜き書きというのは、言うまでもなく教科書中の主要の点を抜き書きして、教科書の欄外などへそのまま書き抜いておくのである。

 

抜き書き!これは私も真似したいと思う。要点をノートに取れば、その都度ノートを開いたり教科書を開いたりと行ったり来たりが面倒だ。だったら教科書に書き留めたほうが効率が良いかもしれない。ちなみに寺田寅彦は先生が黒板に書いた図なんかも書き入れていたらしい。あと授業での先生の質問も「自分はうまく答えられないぞ」と思ったらそれも書き入れる。今は付箋もあって便利になっているし、デジタルでもメモが可能になっているからなおさら良し。

 

断片的な勉強ではなく、知識がつながる勉強法とはこういうものなんだと思う。

 

ただ規則正しく勉強する者の中には、毎日その日のノートを繰り返して、授けられた点だけを暗記しようとする者もあるようだが、自分はそういう方法を取らずに、なるべく講義にしてもだいたいの一段落を告げた時、前から筆記しておいたぶんと連絡して、一度に続けて読むようにした。この連絡をはかるという事は物を記憶する上に、もっとも必要であって、キレギレになった断片的のものをくわしくのみ込もうとするより、むしろその事がらの一段落を告げた後、あわせて読むようにしたほうが、前後関連して理解する上にも都合がよし、記憶をもまた非常に助けるものである。

 

最近たくさんの勉強法を教える書籍が出ているし、どれも「なるほど!」と膝を打つような方法が必ずある。一つ一つを上手に取り入れていけば、いつか私ももっと深く理解を高めるような読書ができるようになるかもしれない。

 

今回もわからなかった言葉を。

 

いつでも勉強したいと思う時には、なんの障害もなく、静かに、悠乎と読書に親しむことができたので、特に勉強の時間を定めて焦慮ってやるという必要はなく苦痛を感じながら机に向かうというようなこともさらになかった。

【悠乎(ゆうこ、ゆっくり)】

ゆっくり

 

読者諸君においてもこのへんのところはよく参酌して、そのうちのよい点だけを取るようにしてもらいたい。

【参酌(さんしゃく)】

[名](スル)他のものを参考にして長所を取り入れること。斟酌 (しんしゃく) 。「第三者の意見を参酌して適切な処置をとる」