Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#745 いつか食べたいちゃんこ鍋~「耳袋秘帖 両国大相撲殺人事件」

『耳袋秘帖 両国大相撲殺人事件』風野真知雄 著

相撲。

 

最近楽しく読んでいるシリーズ。


谷中の次は両国で、大相撲の力士が関わる事件を解決する。大相撲と言えば両国だが、あのあたりは相撲が無ければ本当にひっそりとした街といったイメージがある。しかし時代小説を読んでいると、最も華やかで人出の多いエリアとして登場する。江戸から東京となり、町の様子が随分変わったらしいことなどを学べるのも時代小説の良い所。

 

今回の事件は、若きホープとして期待のかかる若手の力士が何者かに襲われ、命を落とした。刀による切り傷はなく、打撲が激しく無残な姿であった。南町奉行所の面々は、傷跡が相撲の技によるものと判断する。よく見ると平手打ちによる大きな手の跡までくっきりと残されていた。

 

なぜまだまだ幕の内にも届かない新人が襲われたのか。しかも本人も相当強いはずなのに、なぜもここまで痛めつけられているのか。今回も謎が幾重にも重なっている。根岸の予想は意外と深い所に根がある、とのことだった。

 

スポーツ選手を企業がサポートするように、当時もスポンサーらしきものがあったらしい。江戸時代、そのスポンサーの役割を藩が担っていた。大名の参勤交代について行くなどする代わりに、生活面などのサポートを受ける。しかもスポンサー側にもステイタスのようなものがあったらしいいから面白い。

 

そんな裏事情までを持ち出して、あらゆる方面から調査が進んだ。そして調べの末に見えたものは少し物悲しい結果だった。

 

ところで、ストーリーの花を添える役割として、女相撲の話が出てくる。江戸時代には女相撲もあったらしく、それもなかなかの強さだったらしい。しかも男性と同じようにまわしのみで戦ったというから驚きだ。根岸の元でお世話役をしている坂巻も軽い気持ちで土俵にあがったら、あっという間に倒されてしまうほどだ。

 

そういえば両国で思い出したことが一つ。会社のお付き合いで「ちゃんこ鍋を食べに行こう!」ということになり、みんなで両国に出向いたことがある。ちょうど場所があった季節で、予約もせずに向かった我々はお昼の行列に驚き、待ち時間が2時間と言われてもっと驚き、そして「これはもう無理」と神田に向かってお蕎麦を頂いた。なつかしいなあ。結局まだ一度も本格的なちゃんこ鍋を食べたことがないので、いつか必ずあの日のリベンジをと目論んでいる。