Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#732 気分転換には時代小説が一番です~「赤鬼奉行根岸肥前 耳袋秘帖」

『赤鬼奉行根岸肥前 耳袋秘帖』風野真知雄 著

南町。

 

51巻に渡る大作、「居眠り磐音シリーズ」を読み終わり、次も何かシリーズものを読みたいと購入済みのものからこちらを読み始めた。時代小説を読んでいるとものすごく気分転換になるのはなぜだろう。

 

さて、このシリーズは「耳袋秘帖」という名がついており、時代小説にありがちなナンバリングではなく都度タイトルが変わるタイプなのでどれが1巻目かがわかりにくかった。Kindleがありがたいのはシリーズの場合、読み終えた本を閉じる際に次の順番となる作品を教えてくれる。これが紙の本だったら発行日をチェックして順番を知ることになるのだろうか。

 

耳袋とは見慣れない単語だが、これは耳で聞いたものを収集して書き下ろした本のことである。誰が書いたのかというと、肥前守の根岸鎮衛だ。根岸は今、勘定方から南町の奉行となった。ここでタイトルのうち「奉行根岸肥前」までは説明だできる。では赤鬼とは?根岸は出世街道を順調に上った人物だ。元は放蕩し、旗本の身分を買い、そこから着々と出世した。若い頃は相当なやんちゃ者でその頃腕に赤鬼の入れ墨を入れた。

 

本書のタイトルは単にこのシリーズの人物紹介にすぎないわけだが、その根岸のキャラが面白い。すでに還暦を過ぎ、奉行を勤めるには少し歳が行き過ぎているわけだが、もともとの勘の良さや賢さに加え、ウィットに富んだユーモアで奉行職も着々とこなしている。そして人脈がすごい。部下が驚く程に江戸の街や社会を知り尽くしており、経験値が多くの事件を解決してきた。

 

さて、根岸がまとめている「耳袋」は最初は本人の日記のような「面白いことをまとめて書き置いたメモ」だったのだが、内容が面白いと幕臣にもファンがいる。読売とも違う、本当にあった面白い事件、びっくりなあれこれが書かれた耳袋は写本も作り、貸し出されるほどだ。それとは別に「これは公開できないぞ」と考えたものは耳袋秘帖のほうに記録されている。

 

シリーズ1冊目の本書では、根岸と共に活躍する家臣の紹介と敵の存在なども挙げられている。南町へ来るにあたり連れてきた家臣は坂巻と言い、滅法強い。またもともと南町に居た中から選んだ人物は栗田と言い、南町の同心の中でも剣の達人として知られる。

 

時代小説があまりに楽しすぎて、GWは本シリーズを読みふけることになりそうだ。