Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#684 刃こぼれ~「居眠り磐音 10」

『居眠り磐音 10』佐伯泰英 著

新しい刀も。

 

先週は風邪ですっかり体力が落ち、会社を休むほど不調が続いてしまった。週の初めに検査を受け、コロナでもインフルエンザでも無い事は確認したのだが、いつもなら市販の薬でも数日ですっきり治っていたのだが、今回は一週間まるまる寝たきり生活。この頃乾燥していたせいだとは思うのだが、喉からの風邪が長引き真剣に加湿器買おうかと悩んでいる。急場しのぎでエアコンの風が当たる場所にハンガーをかけ、そこに濡れたバスタオルを吊るしどうにか湿度を維持。たまに霧吹きで水をかけるといい感じなので、しばらくはこのままでいこうかな。

 

さて、そんな寝込んでいる間に本シリーズを読み続けていた。江戸のお話というか、実直な磐音の姿に元気が出てくる。

 

10巻目、磐音は一つ大失敗をしてしまった。なんと先祖代々の大切な刀が刃こぼれしてしまったのだ。

 

以前に仕事をもらった金的銀的の親分から、近くの大道芸人一家を助けて欲しいと頼まれた磐音は、早速話を聞いてみた。そこは一家で力自慢の芸を見せており、特に娘二人の技は非常に人気があり、稼ぎ頭だという。その娘の一人がある日急に芸に集中できなくなり、そしてついには家にあった有り金全てを持っていなくなったという。一家は店を閉めるしかなく、とにかく娘を探して欲しいとのことだった。

 

これは磐音一人では埒が明かないと地元の岡っ引きの親分に相談した。するとなんだか事件の匂いがするという。友人の御家人次男の柳次郎にも相談すると、あっさり居場所を掴んできた。同心や岡っ引きとともにアジトに乗り込んだ磐音だが、なんと拐しの張本人は甘いマスクで女性を誘い、ついには連れ込んでその後各地に女芸人として売りさばくと言う悪人だった。女たちはすっかり心奪われているので、悪人であるとは信じない。そこで男を助けようと乗り込んだ磐音達に攻撃してきた。力持ちが芸というその娘が、なんと火鉢を投げつけて来た。一瞬にして灰が舞い、目の前が見えなくなる。その際磐音は誤って鉄瓶に切りかかってしまったようだ。

 

手は痺れ、力が入らない。灰も収まり、捕物も終わり愛刀を見ると、その刃先が刃こぼれするという大失態であった。早速柳次郎に相談し、刀研ぎを紹介してもらう。そして磐音はこの後も仕事が詰まっている。お世話になっている両替商の今津屋から、熱海までの同道を依頼されていた。刀が無くては仕事が出来ぬと、今津屋は質として預けられたもう誰の手元にも戻ることのない刀から、好きなものを磐音に贈ると寛大な提案をする。

 

ところで、刀を研ぐというのはどんな作業なんだろう。家で包丁を研ぐとき、ものすごく神聖な気分になる。これで食材をより美味しく扱うことができるようになる、と丁寧に研いでいく。一日に何百もの鰻をさばく磐音は、毎日包丁を研いで準備する。定期的に包丁をケアしておくと、本当に料理が楽しくなるのでおススメ。

 

大き目の包丁ですら研ぐのに時間が掛かるものだが、日本刀ともなるとどのくらいの時間がかかるのだろう。刀はある意味神器のような面もあるので、取り扱うにも緊張や神秘性が伴ったであろう。しかも、磐音の刀は人を殺めたものでもある。平和の続いた江戸時代とはいえ、やはり刀に宿る不穏を感じていたかもしれない。

 

そんなことを考えながら、そろそろ包丁研がなくちゃと考える。ひとまず、もう少し体力回復してからですね。