Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#682 実直そのものな姿に背筋が伸びます~「居眠り磐音 8」

『居眠り磐音 8』佐伯泰英 著

友の行方。

 

相変わらず喉の痛みが続いている。会社にもハチミツを一瓶持ち込み、あらゆるドリンクに入れて飲んでいる。一番痛みが収まるのはインスタントコーヒーにたっぷりのハチミツとミルクという組み合わせで、理由はわからないのだが不思議なほどに症状が緩和されるのでおすすめ。

 

さて、この頃シリーズで読んでいる本作も8作目となった。3~4冊で1年が過ぎていくような感じで、8冊目では江戸に来て2度目の年末を迎えている。


主人公の磐音は豊後関前藩を脱藩した浪人だ。お国の政治に巻き込まれ、友を亡くし、許嫁は廓に身を売った。しかし彼らを陥れた藩政を悪へと導いた敵を倒し、今、磐音の父は国を立て直すべく国家老として舵を取り、磐音自身も藩の作物を江戸に売るために尽力している。

 

今回は磐音の元へ妹の婚礼の報が届くところから始まった。藩の特産物を売ることで借金を返す政策を共に実行する中居からの便りに、妹の婚礼のことが綴られていた。殿自ら節制の日々を送っておられることもあり、婚礼は最小のものにするという。そして磐音の父からはその便りはなく、父が藩を出た磐音の立場、現在の藩の姿を第一に考えていることが偲ばれる。

 

さて、7巻目では磐音が世話になっている両替商の今津屋のおこんが消えたが、8巻目では友人の蘭医、淳庵が消えた。磐音と淳庵は、かつて日田で出会った。磐音が許嫁奈緒を探そうと長崎へ向かっている道中のことで、淳庵は何者かに襲われいた。たまたま出くわした磐音が淳庵を助け、長崎までともに進む。

 

淳庵は磐音には全く理解のできない理由で襲われていた。それは蘭医の治療法にあった。蘭医は人体の腑分けをする。そして体内について学びを得、病の根源を突き当てるという現在の医学に似たものがあった。江戸の時代はそれを良しとしない派がいたかもしれない。しかし、だからといって著名な蘭医を襲って良いというわけではない。助け助けられた二人は江戸に帰ってからも親交を深めていた。

 

今回、淳庵を襲ったのも日田での一党だった。淳庵が襲われるのはこれで3度目だ。それほど蘭医を敵視するとはどういうことか。南町奉行所からどうやら裏で郎党を率いる者はとある藩の人間であると告げられるも、なかなか動きが見えてこない。地道な探索で友を救いに向かう磐音の姿は、とにかく男気に溢れていて憧れる。

 

本シリーズ、とにかく磐音のまっすぐさに背筋が伸びる思い。それがまた大きくこの作品に惹かれる理由なんだろうなあ。