Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#667 デトックスとか、リフレッシュとか ~「ひとり旅日和」

『ひとり旅日和』秋川滝美 著

はじめての一人旅。

 

少しコロナ禍が落ち着いたかと思っていたら、大陸の方ではまたもや新たな種に脅かされていると言う。私が唯一自慢できるのはまだコロナに罹患していないことで、もしかすると知らない間に罹患していて気合で乗り越えていた可能性も否めないが、とりあえず今まで「あれ、体調変かな」と認識するような事態は一度もなかった。よって去年の年末には海外出張も再開しているのだが、こうも新たな危険についてのニュースがあると、やっぱりどこか構えてしまう。

 

この年末年始も移動が多かったが、マスクを外さないように気を付けていた。たいてい機内食は食べないのだが、今回はいつも以上に気にしたかもしれない。国内の移動の時はそれほど気にしないのだが、海外とあっては勝手も異なりより気を付けようと思った次第。

 

さて、本書はそんな「どこかに行きたい」欲が高まっていた時に購入した一冊で、タイトルに惹かれての購入だった。

 

主人公の日和は非常に内向的で、教授からの紹介でどうにか就職した先でもなかなか仕事が覚えられない。上司からも嫌がらせを受け、ますます日々の暮らしが重く感じられる始末だ。ある日、社長から趣味を作るように勧められ、そこで一人旅を提案された。思ったことも口にできない上に、他人との接点を持つことを苦手とする日和だったが思い切って旅に出てみようと考えた。

 

会社の帰りに書店でガイドブックを探していたら、そこへ偶然先輩の加賀がやってくる。加賀も旅行が好きで、次の行き先をさがすのに書店にやってきたとのことだった。加賀からのアドバイスを受け、日和はより一人旅への意欲を固めるというストーリー。

 

まず、本書での行き先は5つ。順に熱海、佐原、仙台、金沢、そして福岡だ。熱海は日帰り、佐原、仙台、金沢は1泊だ。福岡は有休を利用して2泊の旅をしている。今まで一人で何かに取り組むことのなかった日和だが、旅行を通じて自信をつけていく。

 

一人旅にもいろいろなスタイルがある。旅に出てもどこに行くわけでもなくホテルでNetflix見てました!なんていう人もいるし、どちらかというと私もホテルでのリラックスタイムが好きだったりする。一方で「ホテルなんて寝るだけじゃん」とずっと出かけている人もいるが、本書はその中間といったところだろうか。観光を楽しみ、現地の食事を楽しみ、ゆっくりとお風呂につかる、みたいな旅だ。

 

確かに一人旅は行動力を磨くにはもってこいかもしれない。行き場を決め、それぞれの手配をするが、すべて一人で決めなくてはならない。よっぽどお金に余裕があったり、借金するのも厭わないという人以外は、まずは予算を決めるだろう。その予算内でどんな旅ができるのか、そういう一つ一つを決める作業が一番楽しいので(私見です)、自分の旅に責任を持つことで決定力を養うことができるかも。

 

社会人になりたての頃は出張するのもワクワクで何をするにも好奇心でいっぱいだったが、経験を重ねるにつれて食事も「コンビニでいいわ」となり、時間に余裕ができたらここでしか味わえない経験を!と思っていたのに、今や空き時間があるならさっさと終わらせてホテルで報告書書きたいわ、となんとも味気ない。

 

しかしこれが個人の旅となるとまた別だ。積極的にあれこれ見たり食べたりしたくなる。会社へのお土産なんて駅で適当に買ってたけれど、自分用となるとお土産探しもまた楽しい。スーパーで地元の食材を見たり、特産品はこれまた魅力的すぎて何時間も売り場に居座ってしまったりする。

 

日和が少しずつ旅慣れていく様子を読むにつれ、ムクムクと「一人旅したいな」欲求が膨らんでくる。カレンダーを見ながら次の休みを考えるも、旅行は当分先のこととなりそうだ。この頃は連休も外からのお客様の相手で時間の自由が利かないのが残念。日和のように週末を使って1泊でもしてこようかな。