Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#650 ゾクゾクしてきます~「後宮の烏 2」

後宮の烏 2』白川紺子 著

夜明宮に暮らす。

 

1巻目を読み、独特な世界感に惹かれて早速続きを読んだ。

 


主人公は16歳の一人の女性、寿雪だ。またの名を烏妃と言う。烏妃の暮らす夜明宮は後宮の中でもひっそりとした場所にあり、烏妃への願いがある者以外は立ち寄らない。多くは烏妃の持つ力に恐れをなし、進んで近寄ることはない。

 

烏妃は烏漣娘娘という神のような存在を守る役割がある。表向きには冬官という神官が神を守るということになってはいるのだが、烏妃はより近いのか体内にその有無を言わせぬ力を感じることがある。

 

今の王朝となる前、そこは樂一族という美しい銀髪を持つ一族によって収められていた。そこへ現在の皇帝の祖父が攻め入り、樂一族の血筋は絶滅の対象となった。実は寿雪も銀色の髪を持つ。寿雪の母親は全王朝の者に嫁いだのだが、身分が低かったことから記録に残されることはなく、その身を追われることなく寿雪を産んだ。見た目に樂一族であることがわかる娘に「この銀髪が幸せをもたらしてくれるように」と寿雪と名付けた。

 

普段、寿雪は髪を染めている。なぜなら見つかれば討伐の対象になるからだ。本来烏妃は一人で生きていなくてはならない。ところが王である高峻が夜明宮を訪れるようになってから、いくつかの問題を助けるうちに、夜明宮には宮女が二人、宦官が一人住むようになった。人の温かさに触れてしまった寿雪には、もう孤独に生きることが難しくなる。そして高峻は樂一族のものを討伐するという法を解除した。

 

そして2巻目は烏妃とは何であるのか、にスポットライトがあたっている。まだ2巻目だというのに展開早い!とついつい声を出してしまいそうになるのだが、読んでいて楽しい小説は早くに終わって欲しくないという気持ちが勝ってしまうので仕方がないだろう。とにかく、烏妃と共に烏漣娘娘に使える冬官へ、高峻は「烏妃とは?」の答えを求めようと接近する。

 

物語は寿雪が幽鬼に対応する中で烏妃の存在意義について語られていたのだが、そこへ大きな謎が投じられる。宵月という宦官が現れた。新月の夜、烏妃の体内で烏漣娘娘が目覚め、時に空を飛び海を渡る。それは体を引きちぎられるような痛みを伴うが、寿雪は必至で耐えるしかない。ある時、烏妃は新月の夜に烏漣娘娘の空の旅である男を見た。瞬間、恐怖で体を包まれ、あっという間にいつもの寝床に戻っていた。烏漣娘娘をも恐怖を感じる男。その男が後宮にやってきた。宵月と言う名で宦官として仕えていると言う。

 

宵月はある事件をきっかけに、ついに烏妃の前に姿を現す。そして伝えられていない烏漣娘娘の事実を語る。宵月と烏漣娘娘はもともとは幽宮というところに暮らしていたという。新たな事実に戸惑う高峻と寿雪。

 

一枚一枚ベールが剥がされるように秘密が明るみにでる。なんだかゾクゾクしてきます!

 

どんどんと明るみに出る過去。