Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#637 日々余裕ある心で過ごさねば~「丁寧な暮らしをする餓鬼」

『丁寧な暮らしをする餓鬼』塵芥居士 著

温かい。

 

世の中とても便利になったので、連絡事項を伝達する際、しっかり履歴として残したい時はEメール。社内の要件で軽いものであればTeamsなどのメッセンジャー的なものを。非公式であればいろいろなSNSもあり、コミュニケーションの手段が豊かになることでスムーズに業務を行うことができるようになった。SNSの場合は逆効果で気軽に連絡されて困るような場合もあるのだが、概ね仕事が円滑に進むようになっている。

 

そこへなぜか第一の伝達手段に「電話」を選んで来る人がいる。しかもたいてい全く急ぎの件ではない。たいていの人は事前に文章で内容を簡単に説明し、どうしても話をする必要があれば「今話せる?」などと聞いてくるのだが、電話派の人はその前置きの部分の説明もなしに、いきなり電話をかけてきては導入部から話始めるのでとにかく長い。その上回数も多い。話す内容も誰かからすでにメールで通達されている内容をわざわざ電話で伝達してきたり、週末の朝に来週末のスケジュールの曖昧な件を報告してきたり、別に月曜でもよいのでは?と思うことを延々と話すので大変困っている。コミュニケーションの手段が変わり「効率」が求められるようになった今、心に余裕がないせいか、こういうことがストレスとして圧し掛かる。そして寛容に接することができない自分に自己嫌悪。

 

そんな今日この頃、気になっていたマンガがKindle Unlimitedに登場しており、心を落ち着かせようと早速読んでみた。

 

主人公は餓鬼だ。解説によると、餓鬼とは生前に欲深く嫉妬深い生き方をした者が死後に生まれる世界が「餓鬼道」であり、そこに生まれるものを「餓鬼」というのだそうだ。大事なことを忘れていた。この解説は浄土真宗の僧侶(カレー坊主さんだそうです)によるもので、仏教の世界に基づいた哲学がある。

 

本書の餓鬼の姿は絵巻から出て来たかのような姿で、そこにまるで古紙のような装丁がぴったり合っている。しかし本書の餓鬼の生活は携帯持ってたりと割と今風で、ガッキーと呼ばれて愛されているようだ。

 

基本的には上のように4コマなのだが、章が変わるごとに今風な様子が描き出されている。なんとなくだが、この装丁の効果だろうか、まるで鳥獣戯画をリアルタイムで見ている人のような気持ちになった。

 

ガッキーは実はものすごく優しい。丁寧な暮らしをしているというよりは、根が几帳面で日々の暮らしを疎かにしないように見えた。そして思いやりがあり、実に人間味に溢れている。

 

特にこの2作を読んで最近の自分を反省中。

 

やっぱり心の余裕があってこその思いやりですね。