Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#630 願い事も覚悟が必要ですよ~「これからお祈りにいきます」

『これからお祈りにいきます』津村記久子 著

効くけど代償がすごすぎる。

 

そうか。すっかり忘れていたけれど11月後半にも国民の休日があるのか!と、今カレンダーを見て気が付いた次第。そういえばそろそろ年末調整の時期。じつは去年初めてふるさと納税というものをやってみた。手に入れたものはキッチングッズばかりで、今年はさてどうしようと思いつくままにクリックしていたら、7か所に納税してしまっていた。6か所以上だとワンストップ納税対象外になりますので、みなさまお気をつけて。それに気が付いてから「確定申告ってどうやるの!?」とあれこれまわりに聞いているところだ。

 

なんとなく年末気分になって来たのはふるさと納税のおかげかもしれないが、このところは食材しか購入していないにも関わらず、どんどんと物が増えている感が半端ない。頂きものもなんとなく増え、またお付き合いで訪れたお店でちょっとしたもの(全て食品だけど)を購入し、すでに冷蔵庫と冷凍庫の中は溢れんばかりになっている。加えて外国の皆様のお土産(これもみんな食べ物)が会社のデスクの上にも山積みになっており、どうやら私がダークチョコレートが大好きな件が得意先様にも漏れている様子。まあ、クリスマス近いとチョコレートボックスの贈り物セットなど増えるので手ごろだったのかなーとも思うけれど、このままだとバレンタインデー過ぎてもまだまだ残っているくらいの量である。

 

さて、今日は待ち時間が長かったので本書を読むことにした。タイトルに惹かれて購入した1冊だが、これを買った時は確かコロナで初めての在宅勤務となった頃に毎朝近くの神社にお参りしていた頃だ。そういえば最近行っていないなあ。

 

だが、想像に反してこちらは神社うんぬんの話ではなかった。ちょっとオカルト風な面もある地元の祭りの話である。主人公はシゲルという高校生。シゲルは地元の公民館の掃除のアルバイトをしている。なぜそんな地味な仕事を選んだのかというと、人と接する必要が無いからだ。一人黙々と、もしくは決められた少人数で行う作業はシゲルの心を楽にする。なぜか。シゲルの今一番の悩みは、顔一面に広がるニキビで、これが尋常ではないほどに広がっているために人前に出るのが嫌なのだ。

 

公民館の仕事は楽なのだが、秋が迫り、ちょっと気持ちは萎えてくる。シゲルの住む町には冬至に祭りが催される。ものすごく大きな人形の内部に「これだけはもっていかないで欲しい」という体の一部の模型を作り、入れる。模型は紙でも、粘土でも、編み物でも、なんでも良い。

 

この町の神様はサイガサマという極めて非力な祭神で、民の願いを聞き入れてくれはするのだが、代わりに体の一部を持って行ってしまうのだ。シゲルは小学生の頃、自由研究でこのサイガサマについて調べ、市長賞をもらったことがあった。それ以降、少し猜疑心がある。

 

とは言え、町の人々は熱心に模型を作る。そして、ものすごく熱心にこのイベントに取り組む人たちがいる。それは皆、そのサイガサマの力を体験したものなのだが、いまいちよくわかっていないシゲルには「なんでそこまで」と思わせるものがあった。だから公民館のバイトもそろそろやめて他に移ろうかな、とすら考えてもいる。

 

しかし公民館の掃除の仕事のはずが、祭りが近くなり掃除以外の仕事も任されてしまうようになった。しかもその仕事には小学生の時の自由研究でお世話になった人が担当ということで、ずるずると手伝いの日々が続く。もちろん給料が良かったということもあるが、祭りに関わりつつ、ついにシゲルも不思議体験を目の当たりにする、というストーリー。

 

本作は2つの話が収められているが、ボリュームとしてはこのお話が大半を占める。もう一つは京都の大学生が主人公で、京都から出たことのない地味で臆病な作郎の物語だ。作郎はシャツをパンツの中に入れるタイプのきっとまじめそのものな青年で、あまりモテない。付き合っていた子には振られ、その反動で一緒に通っていた京都案内ボランティアで嵐山を一番よく知る男になると斜め上の方向にがんばってみることにした。

 

世界の京都である。外国人の関心は日本一だろうし、検索してみると京都観光のサイトは山ほどある。そのうちの一つで京都情報を英語で発信するようになった作郎はアルゼンチンのJuanaと知り合う。このオンライン上の出会いで、作郎の京都ライフが少しだけ活発になる、というお話。

 

ものすごく気分転換になった。そしてものすごく京都に行きたくなった。京都と言えば、森見さん、万城目さんなどがおられるが、著者の作品も関西色が溢れておりこれから注目したい。