Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#567 わかりやすい英文を書く難しさ ~これなら通じる技術英語ライティングの基~

『これなら通じる技術英語ライティングの基本』平野信輔 著

英作文の注意事項。

 

英国のハリー王子とその妻が電撃的に「ロイヤルやめる。アメリカ行くわ。」と発表してから、なぜかあの二人のゴシップネタを好んで読んでいる自分がいる。そして定期的にチェックしているのがこちら。

 


ロイヤルニュースはいくつかにまとめられているのだが、その分類が面白い。Newsの項目の帯を見ると、上から'Latest Headline'のすぐ次に'The Queen'があり、ちょっと後ろの方に'Prince Harry'がある。ではその嫁は?というとUSの項目の帯の最後方だ。一応トピックとなっているだけでも関心度の高さがうかがわれるが、それでもキム・カーダシアンより後ろとは随分と軽く扱われているのだなーということがわかる。女王陛下のニュースの帯にはそのほかのロイヤルファミリーの活動や、他国のロイヤルファミリーも登場するが、ケンブリッジ公爵夫人はFemaleの帯に別に項目が設けられており、女王陛下に続き、ケンブリッジ公爵夫人の記事が並ぶ。

 

このロイヤルニュースを読みながら、気がつけば英文を読むことにそれほど抵抗感がなくなるというプラスの効果に気が付いた。さて、この勢いで仕事もがんばるぞ!と思ったのはいいが、同じ英語でも技術英語となると一気にハードルが高くなる。さらに技術を英語を読むのではなく、自分が書くとなると、これがどえらい苦難となっている。仮に技術英語を読むにあたってのハードルの高さが東京タワー並みだとしたら、技術英語を自ら作成するハードルの高さは富士山とかヒマラヤとか、宇宙から目視できるレベル。もう無理なんです、ムツカシスギル。

 

そこで、今は英作文関連の書籍や技術系の英文の書籍を見つけては購入しては読み込んでいるのだが、本書はその中でも表紙の文字が優しそう!という理由から一番最初に読み始めた。

 

私は翻訳や通訳の世界に明るくはないのだが、それぞれ専門分野があるらしいという話はちらっと聞いたことがある。例えば医療や科学など、深いところまでしっかり把握せずには言葉を介す役割に達せない分野などがそうだという。確かに普段文芸小説を翻訳している方が物理の翻訳をすることになったら、かなりたくさんのことを調べながら作業に当たらなくてはならないだろう。政治が専門の通訳の方が、ジェンダーレスなファッションアイコンの通訳となれば知らない単語が山のように出てきて憂鬱になるかもしれない。

 

しかし私は薄い知識しか持ち合わせていないので、とりあえず今は吸収するのみ!とライティング系の書籍に没頭することにした。まず本書は技術英語に特化せず、英文ライティング全般に通ずる問題点を非常にわかりやすく説明されている。

 

本書は平野先生が生徒のダイゴロー君にレッスンする形式で進められており、二人の会話を通して基礎を学ぶことができる。ダイゴロー君は理系の単語もすいすい操っているから、そもそもの英語レベルは高いはず。平野先生は普段英文を書かない人にもわかりやすく説明することを目標にしておられるので、技術系の文章を使いながら「英作文とは?」を読み進むにつれて身に付けることができす。

 

私は日→英だと日本語に引っ張られてしまい、無駄に言葉を重ねてくどくどと長い文章を作ってしまうことが多い。そして後で読み返して、自分でも何を言いたいのか分からなくなることが大半だ。そのわけわからんっぷりの理由がまさにこれ。


上記、最終的にどう整理したかというと、まず第一に日本語を修正している。直した文章がこちら。

 

安定した充電のためには端子をきれいにして下さい。

 

ものすごーくシンプルになった。なぜこうも文章がコンパクトになったかというと、かぶっている部分を省いたから。完全に誰もがわかりきっているような部分や、動詞と名詞とでかぶってる内容なども一つにした。その結果が上である。こうなると英訳するのもがぜん楽になる。

 

第1部はこういった間違えてしまいがちなポイントを指導している。第2部では英文法の指導だ。これがいい感じでまとまっていてとてもためになった。例えば助動詞がつくとイメージががらりと変わるが、それが現在形と過去形で意味が若干変わってくるなど、小説だったらさらっと流してしまいそうだけれど、技術系では絶対に流せないポイントに絞った説明がある。

 

「エラーが発生するかもしれない」と「結構な確率でエラーが発生するかもしれない」ではユーザーの気を付けなくては、な気持ちにも差が出てくる。全く気が付いていなかった技術英作文のポイントがいくつもあり大変ためになった。

 

手元に参考書を置き、いざ英訳を始めてみる。そして暇を見つけては技術英文の本をぱらぱらとめくり、ウォーミングアップも忘れない。ああ、無事に仕事が進みますように。