Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#541 今度は公家付き?~「江戸っ子出世侍 官位拝受」

『江戸っ子出世侍 官位拝受』早瀬詠一郎 著

またまた出世!

 

こんなこと言っているのは私だけなのかもしれないのだが、新幹線に酔いやすい。特にパソコンを出して作業を始めると途端に酔ってしまう。それなのに本を読むのは平気で紙の本でもKindleでも気持ち悪くなることはほとんどない。そして東から西へ移動している時にその症状が多いような気もするのだが、やっぱり気のせいなんだろうか。

 

本当は急ぎの案件が一つあったのだが、パソコンなんて見ていられないくらいに気持ち悪いので少し休むことにした。一度乗り物酔いすると回復するのに時間がかかる。音楽聞きながら目を瞑って回復を待つだけなのだが、少し良くなってから気分転換に本書を読んだ。

 

さて、本シリーズ。面白いほどスイスイと出世していく香四郎に3巻では一体どんなことが起きるのかと大いに期待して読み始めた。そもそもタイトルが「官位拝受」となっているので、武士からお公家か!?と読み始める前から香四郎が心配になる。

 

2巻目まで本人の意思とは関係なく、見えないなんらかの力が働いて貧乏旗本がどんどんと役目を受けるようになった。しかし美人に目がなく褒められるところの少ない香四郎ですら「これは何らかの力が動いている」と気づき始める。おそらく前のお奉行にかかわりがありそうだということ、お奉行が据替られてから後の勢力と以前のお奉行を擁護する派が拮抗していること。そしてそれらが張り巡らされた糸に香四郎がとらわれてしまっていることまではわかってきた。だが、いったいその本丸がどこにあるのかまではわからない。2巻目ではあの遠山の金さんまで登場する上に、今度は茶屋の女将に恋をする。

 

 

さて、3巻目では一体何がおきるのか。初登城の時に出会った友がいる。勘定方に勤める秀才派で、香四郎とともに不正の調査をしていたのはいいが、なぜか友と二人で元凶のもとへ乗り込むこととなる。そこでひと暴れはしたが、二人でしっかり話を決着させ解決へと導いた。ところが解決したはずなのに香四郎はお役を解かれてしまう。しかし友は違った。一緒にお役御免となったかと思いきや、なんと昇進していて余計に香四郎の心は腐る。

 

そして今度は武家の身分でありながら、五摂家に使える身分となった。時は黒船が日本にやってきた頃で、武家の在り方が問われる頃だ。尊王を訴える派もいるようで、あれこれ先を見通せない不安なんかもあるだろう。とはいえ、なぜ香四郎が抜擢されるのかは相変わらずの謎であり、いったいこれはどういう話に落ち着くんだろうという思いが読めば読むほど膨らんでくる。

 

今回は正六位下という身分となった香四郎。また良からぬものらに囲まれている風なのだが、峰近家で用人をつとめるおかね婆さんのキャラクターが唯一おもしろい。香四郎は女好きという噂が広がり、峰近家に勤めるものは2巻の事件で知り合った二人以外、みな女性ではあるが、すでに婆の域へ達した者ばかりだ。この婆さんたちがすごすぎて、香四郎のそんっじがかすんでしまいそうなほど。

 

さて、4巻まではKindle Unlimitedで読めるようなのであと1冊は読んでおこうかな。