Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#539 新入社員が孫会社から子会社に異動になった上に課長に昇進…という感じでしょうか~「江戸っ子出世侍 別格与力」

『江戸っ子出世侍 別格与力』早瀬詠一郎 著

香四郎の出世、シリーズ第2弾。


 

どういうわけだかこのシリーズの主人公、峰近香四郎のことが気になってしまい、早速続きを読むことにした。幸い今週も移動が多いので読書時間もたっぷり取れそう。

 

タイトルにあるように武士の「出世」がどんな風になされるのかが気になるし、1巻目では香四郎自身が出世街道をひた走るというより、なんだかわけがわからないうちにお金が手に入ったりしていて2巻を読まずに様子が見えない所がある。

 


1巻目、ちょっとびっくりなことがいくつかあった。まず、いきなり養子に出た。継ぐもののいない遠縁の御家人の所で当主となる。そこに商人が出てきて突然大きなお金を手渡す。そもそも、この遠縁というのも嘘なのか本当なのか…。

 

御家人となって香四郎には役目が付いた。仕事を与えられたのは良いのだが、今まで冷や飯食いで毎日のらりくらりと過ごしていた香四郎なのに、なぜかあの「村正」をお奉行から与えられている。しかも徳川家の紋が入っており、見る人が見れば「この方は徳川家の…」とひれ伏すような一品だ。それをこの間まで貧乏旗本の四男坊が手にするって!!!

 

なぜこんな驚きの事態が起きたかというと、香四郎にはなぜかどんどんと役職が付き、この刀を持たされた。事の発端は御家人の家に養子に出されたことから始まり、いきなりお役目を与えられ葛飾州へと調査に出る。1巻目ではその刀でお奉行の敵を討った。村正を与えられるだけでも大きな出世ではあるだろうが、なんの功績もない新人に村正を与えることなんて稀なことに違いない。

 

2巻目でも引き立てられるのだが、今度はもっと驚きなことになんと別格与力という役割を与えられる。香四郎は一度御家人の家に養子に出たが、実兄が他界し実家に戻っている。旗本の身分に戻ったとはいえ、それでも唐突に与力の役目が付くという話なんて今まで読んできた小説にはなかった気がする。

 

会社で言うと、新入社員がどこか大手の孫会社のようなところから格上の子会社に異動となり、経験もないのにそこでいきなり課長になるくらいな感じだろうか。

 

2巻目ではなんと長崎奉行への命を受け、江戸にて抜け荷の調査にあたることとなった。また見えないレールが現れて香四郎は一歩出世街道を歩み出す。いざ調査にあたっている時は割と冷静に様子を見ているし、決して無能ではないはずだ。だが社会を知らない所があり、そのピュアさがまた魅力だったりもする。

 

一体だれが香四郎に目をつけ、本人には決して見えない出世の道を提供しているのだろう。ああ、やっぱり気になる!