Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#472 都内の雪は止んだようです ~「粗食のすすめレシピ集」

『粗食のすすめ レシピ集』幕内秀夫 著

昔ながらの和食。

 

昨日は大雪のニュースを受け、会社より珍しくも「早く帰れ」との指示があった。定時より1時間ほど早く会社を出たので、まだほんのり明るいうちに帰宅することができた。夕方5時ごろの東京は傘が必要な降り方で、雪というよりは雨混じりの雪という感じ。この3連休は断捨離などなどライフスタイル改善にあてるつもりだ。休みのうちに買い物に行かずに済むよう帰宅後すぐに近所のスーパーに買い物に行った。

 

一夜明けての東京だが、窓から見る限りそれほど積もってはいないようだ。ベランダにシャーベット状の雪がうっすらあるところを見ると、道路状況も大差ないはず。今日休みの人が多いと思うが、外出される方はどうぞお気をつけて。

 

さて、昨日の夜から断捨離計画を練っており、この3日間をどう使うべきか考えた。広い家ではないので物を処分するだけで少しは見栄えするはず。とはいってもその処分が難しい。特に書籍は問題で、既読と未読のうち問題なのは未読本だ。ざっと数えると50冊近くあり、まずはこれにいち早く目を通すことからはじめようと決める。まずは楽しい気分で料理のものから読むとしよう!と手に取ったのが本書である。

 

「そしょく」には「素食」と「粗食」がある。素食は私の中では完全に台湾の菜食料理のイメージが強いが、日本では肉や魚を使わず野菜だけで作った粗末な料理という意味があるらしい。以前に台北のビオセボンみたいなお店に行った時、この素食という単語をよく見かけた。台湾は何を食べても美味しいから、きっと素食も美味しいに違いない。予約がいっぱいで実際に食べるチャンスはなかったのだが、有名なレストランもいくつかあるらしい。

 

一方本書のタイトルにもなっている粗食は、この頃「一汁一菜」や「まごはやさしい」など昔ながらの和食の話題によく登場する単語だ。辞書では「粗末な食事」とあるが、わかりやすく滋養が高く、旬の素材を、少量おいしく頂きましょう!と言うことだと理解している。

 

著者の幕内先生は伝統食を研究しておられ、健康と食を追求しておられる方だ。実はずっとずっと昔のことだが、本書の書籍版を持っていた。なかなか和食が手に入らない海外に住んでいた頃、偶然現地の書店で見かけて購入した。私にとっては思い入れのある一冊で、そのレシピ集があると知りAmazonで購入し届いたばかり。

 

外国生活ではまず水が変わるせいか、味覚がなかなか整わない。いつものごはんもなんだか違う。もちろん現地で食べる日本食は私たちが食べる和食とは遠いものも多い。到着してから忙しく時を過ごしている間、ある日体調が崩れ始めた。とにかく気力が湧いてこない。最初は環境が変わったことや治安を意識して緊張しているからだろうと思っていた。そのうち何を食べても砂を噛むような味気無さが続き、これはまずいぞと自らの危険信号に気付く。

 

真っ先に食べ物を改善しようと考えた。考えてみると、生活に慣れるまで夜は日本から送っておいたインスタントものを、朝昼は現地で手に入る簡単なものを食べていた。確かに栄養となるものを取らない生活が数か月続いていたように思う。どこに何があるか把握するまでの余裕もなく、体に変調が出て来て初めて徒歩圏内のスーパーをチェックした。まず手始めに富裕層や意識高い系の人がよく利用しているというオーガニック専門店に行った。ここで予想外だったのは、なんと日本の味噌や醤油があったことだ。日本食専門店は家の近くにはなく、電車で移動する地域にしかなかったからあきらめていたので嬉しい予想外。その後、お味噌汁を毎日とるようになり、体調も肌も回復。海外で和食調味料にお困りの方、是非オーガニックをアピールするショップに行くことをおすすめします!

 

さて、本書に戻る。こちらは私が現地で読んでいたもののレシピ集で、写真とともにレシピが掲載されている。基本はごはん、味噌汁、おかずが一つというシンプルなもので、旅館の朝ごはんのようなシンプルレシピが並ぶ。今日本では育ちざかりの子供には肉をメインとしたボリューミーな洋食メニューを作ることが多いだろう。それに慣れてる私たちにはこのメニューだとものっすごく物足りない!と思うはず。茶色メインのおばあちゃん世代のレシピに見えるし、なにより映えない。健康を意識した食であることは一目瞭然で、噛むほどに味わいが深まる食事だろうなー(でもあんまりそそらない)と子供目線にはそそる要素が薄いと想像する。

 

ただ、これが海外暮らしにはため息が出るほど欲しくなるメニューなのだ。日本にいると簡単にあれこれ手に入るし、ネットも駆使すれば世界各地の体に良いものが手に入る。海外でも同じだろうと思いきや、和食は素材の調達はハードルが高い。今の世の中オンラインでなーんでも手に入ると思っていたが、生鮮は難しいからその時食べたい和食素材がなかなか手に入らない。現地のアジア系スーパーに行けば類似品は手に入るけど、中韓泰越あたりのの食材はあっても日本のものが無い場合も多い。しかも日本にいた時は肉食べたい!とか思っていたくせに、海外ではむしろ肉はもう結構です、白飯いや玄米飯下さいとなるのが不思議だ。

 

書籍版、今はぼろぼろになってしまって手元にないのだが、あの時の懐かしい気持ちと共にレシピを復習した。本書を読むと「なぜ」がわかり、一汁一菜すべき理由が見えてくる。旬の食材や地産地消は日本人の生きるための知恵から発生した食文化であることは周知だが、今やそれを実現することのほうがハードルが高くなってきた。だからこそ、この頃は和食のレシピにそそられるようになり、あれこれまた本を買ってしまうのですよ。ああ。

 

朝から料理本を読み気分爽快。そうだ、体の断捨離もやらなくては。とりあえず、3連休良いスタートかも。