Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#422 ネコに癒されたくなる!!! ~「はなの味ごよみ4」

『はなの味ごよみ 4』高田在子 著

ネコと暮らしたい!

 

読みだしたら止まらなくなってしまったこのシリーズ。読み進めているうちにほっこり温まってくるような、心が満たされていくような感覚がある。

 

 

4巻まで来て、どうして時代小説が好きなのか、ふと考えるようになった。これも「大人になったから」だと年齢のせいにするのは簡単だけれど、コロナのように想像もつかなかった事態が発生し、変化に対する耐性が弱まったからかな?と推測している。でも、やっぱりファッションや流行と同じで年を取ったから10代とか20代の作家さんの新しい試みについて行けないー!みたいなところが大きいとは思うのですよ。ただ、そんな「ついて行けないわー」という置いてけぼり感、歳とちゃった感よりも、中長期はもちろん、すぐ先の未来について読みにくくなったという不安定さの方が大きいのかな、と思っている。仕事においてもプライベートにおいても未来の読めない不安さの中で、「江戸」という過ぎ去った時代というのは私たちの経験値から想定できる安心感がある。そして人情とか、正義とか、今最もすがりたいものが小説の中にあるからかしら?とまで考えて、とりあえず続きを読もう!と本書に戻った。

 

4巻も登場人物たちの活躍から目を離せずで、読み始めからワクワクしてしまう。本作での功労賞は何といっても「こはく」だろう。「こはく」は喜楽屋で飼われている猫だ。名前の由来は琥珀のような色だから。こはくは、卯太郎という乾物屋の手で喜楽屋までやってきた。卯太郎の許嫁の実家は鰹節やで、猫好きの手代が野良猫に鰹節を与えているうちに店の周りに猫が集まってきたという。

 

卯太郎も喜楽屋に助けられたうちの一人で頻繁に顔を出すメンバー。卯太郎から「とても大人しい猫だから、とりあえず試しに数日預かってみないか?」と言われ、しぶしぶ承諾したおせいも、あまりのかわいらしさにそのまま迎え入れることにしたという経緯がある。

 

こはくはとっても賢くて、まるでおせいやはなの言葉や気持ちがわかるかのような振る舞いがこれまたかわいい。猫好きとしては読んでいてまたほっこり。二人が店で仕事をしている時は大人しく2階で眠っており、階段についたてが置かれている時は「降りてはいけない」ということまでちゃんとわかっているようだ。二人の心に陰が差す時、こはくはひっそりとやってきて励ますかのようにまとわりつく。ああ、羨ましい!!

 

そのこはく、なぜかものすごく人見知り。喜楽屋のお客がやってきただけで驚いて2階に逃げてしまうのだけれど、なぜかおせいやはなが心を通わす人間にはなついているようだ。

 

今回ははなを師匠と呼ぶ力士雷衛門の部屋から、飼い猫の「もも」が居なくなったと大騒ぎ。すでに部屋では皆、ももを家族と思い、相撲の辛い稽古にもももがいるから耐えられるほどの溺愛ぶりだった。こちらもやはり卯太郎との縁でやってきたらしく、喜楽屋でおいおいと泣く雷衛門をみんなで助けることとなる。

 

この喜楽屋には武士も町人もやって来て、とても和気藹々気持ちよく食事をしている。そんな雰囲気も読んでいて微笑ましくなるし、平和の中にも切なさもありでますます続きが読みたくなる。今、読むにぴったりのストーリーだった。