Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#327 どの世代にも愛される料理ってありますよね

『一生食べたいカツ代流レシピ』小林カツ代。本田明子 著

 高齢者でも食べやすいカツ代さんレシピ。

 

連休中に少し家の中を片付けようと思い、やっとの思いで本棚に少しだけスペースを確保できた。断捨離も服や雑貨ならば「すでに十分使わせていただきました」と処分することができる。コンマリさんのおっしゃるsparkling joyなるものも感じやすいし、はっきりと手放すタイミングじゃないことを感じられるのだけれど、こと本となるとなかなか手放すことができない。一度手に取ってしまうとまだまだ語り掛けてくれるものがある気がして「次回にしよう」と、また書棚に戻してしまう。

 

今回は確実に時代遅れ感をもたらすファッション関連の本を悩みに悩んで10冊ほど処分した。とは言え、10冊では今未読の本を読み終えてもスペースはまだまだ足りない。未読の本は籠に入れて置き場所を作っているのだけれどすでに籠はいっぱい。つい便利なのでKindle本ばかり次々と読んでいたけれど、紙の本を読み進めないことにはいつまでも籠から本は溢れたままで、籠と言ってもかなり大きいこんなのなので多分50冊以上の本が入っているはず。欲しいと思うと次々買ってしまうけれど、書籍の場合は1食抑えるくらいで1冊購入できる。洋服やアクセサリーより財布の口が緩みやすいせいか籠周辺に本の山ができつつある。これは少しでも読んでいかなくては。

 

 

ということで、クリスティーの夏の合間に料理本を少し読んでおくことにした。本書は少し前に買った本で新書サイズで読みやすく、写真もカラーで使える一冊だと思う。

 

本書はカツ代さんと本田明子さんとの共著のようになっているが、実際に筆を取られたのは本田さんで、本田さんはカツ代さんの一番の内弟子なんだそうだ。本来弟子は取らないと言っていたカツ代さんのもとへ押しかけていったと本書にはあるけれど、きっとなにか感じられるところがあったからこそ迎え入れたんだろうなと思った。

 

本書はカツ代さんのレシピをもとに、カツ代さんの他界後に本田さんがレシピをまとめたものとなっている。師匠のカツ代さんは67歳でくも膜下出血で倒れられ、2014年に他界された。カツ代さんは生前、その時代、自分の年齢、家族の年齢に合わせて料理のレシピを考えてきたけれど、これからは70歳、80歳、90歳の人が作る、もしくは食べるレシピを考えたい。だから92歳まで生きるのだと仰っていたそうだ。

 

32年間、カツ代さんを師匠としそばで過ごされた本田さんが選ぶレシピは確かに高齢者でも食べやすく、そして食べたいと思わせるもののように思えた。おじいさんやおばあさんはみんな消化のよい柔らかい食べものが食べたいわけではないと思う。肉好きな人はずっと好きだろうし、野菜や果物だって食べたいはず。でもどんなに若い頃から好きなメニューだとしても、体の変化によって食べにくくなったりするものもあるだろう。でも、食べたい。それをどうすれば食べやすくできるのかを追求した1冊だ。

 

本書によるとカツ代さんと言えば「肉じゃが」なんだそうだ。1つ目にあげる料理として肉じゃがが挙げられているのも本田さんにとっても思い出深い一品だからだと思う。

 

優しい肉じゃが

小林カツ代の肉じゃが」といえば、師匠の代名詞になってしまった人気料理です。しかし、師匠は70代、80代の人にも食べやすいよう、改善の余地ありと考えていました。

(中略)

少し話はそれますが、「小林カツ代の肉じゃが」も最初からあのレシピだったわけではありません。私が弟子入りした1980年代は、まず肉と玉葱を炒め、すき焼きのような味付けをして鍋からいったん取り出し、甘辛い味が残った鍋にじゃが芋と水を入れて煮る、芋に火が通ったところで、肉と玉葱を鍋に戻すというやり方でした。それがだんだん進化して、最終的には関西風すき焼きのごとく、まず玉葱だけを炒め、肉を鍋底に置いたら、そこをめがけて砂糖、みりん、しょうゆの順に加える。その後、じゃが芋と水を入れてフタをし、一気に強火で煮るようになったのです。これが、TV番組「料理の鉄人」で日本中に知られるようになった「小林カツ代の肉じゃが」。

 

じつは私はあまり肉じゃがが好きではない。とくに甘めのものが苦手で、中でも甘めの玉ねぎがたっぷりなものが苦手。さらには牛肉を使う地域と豚肉を使う地域があり、使う部位もちょっとずつ異なる。両方食べてみて感じたことは、牛肉のほうが甘みが際立って苦手度が増すようだ。肉じゃがはお母さんの味とか、彼氏を落とす必須料理的なイメージがあるだけに苦手宣言すると割と驚かれる。思えばすき焼きもあんまり好きじゃないんだよなーと思うと、甘めの肉料理が苦手なのかもしれない。

 

そんな私でもカツ代さんのレシピならメリハリあって食べたくなるかも、思うようになった。本書では肉問題よりもじゃがいも問題のほうが肝心と言っており、メークインか男爵かに熱い思いを添えられている。

 

f:id:Dahliasbook:20210721151721j:plain

 

自分でアレンジする時はじゃがいもではなく大根を使うことが多い。あともちろん甘みも抑えてある。たまに里芋とかサツマイモ入れてみたりするけれど、やっぱり砂糖やみりんは控えめ。

 

このレシピの火加減なら甘みがにじまない気がしてやってみようかな、という気になった。肉じゃがはいつがおいしい季節なんだろう。煮込む料理がちらほら多かったのでなんとなく冬のレシピのイメージが強く残ったけれど、作りやすいメニューが多くこのシリーズは円作揃える予定。