『弁当屋さんのおもてなし 5』喜多みどり 著
千春、久々に東京へ。
このシリーズ、やっと5巻目まで到達。残りあと3巻(全8巻)なのだが手持ちはあと2冊。ここまで来たら最後まで読むべきかな。
5巻目あたりまで来て、やっと慣れたというか我慢する術が身に付いたというか、ひとまず読書の途中にあれこれ北海道食材を検索しては悶絶するようなことはなくなった。とはいえ、今回は千春が2週間の研修で久々に東京の本社へ行っている。よって北海道食材的なネタが少なかったのかもしれない。あとは餃子のせいかも。
今回は定年退職された男性が餃子をリクエストするという内容だ。退職前は接客業だったこともあり、においの残る食材はあまり摂らないようにしていたらしい。餃子はその最たるもので、退職したら餃子を食べるぞ!と思うほどに熱を入れていいたのだが、なぜか昔の味は蘇らず。
餃子、これはもう全国区どころかアジア全域どこでも似たようなものを食べるので、地域の特徴があって当たり前。それに似たようなものが簡単に手に入るし、アレンジもしやすいレシピなので「ものすごく食べたい!」という気持ちにはなりにくかったのだろう。5巻目は本当に冷静にさくっと読み終わった感がある。
この餃子、レシピに北海道らしい食材が入っているのだが、それは「行者ニンニク」という具材だ。別名アイヌネギとも言うらしい。でも、この食材は東北でも食べられているし、実は他のアジアの地域でも似たような食材がある。食べ方違えど餃子に入れたりもするわけで、むしろなぜ餃子?他のレシピもあったのに!と残念な気持ちになってしまった。
ところで、ユウは毎日元気にお弁当を作っている。千春の東京出張の際にも機内で食べるためのお弁当を渡しているのだが、その中にサクラマスが入っていた。私はサクラマスを食べたことがないので(多分...)どういったお魚なのかがわからないのだが、これは出世魚なんだそうだ。ヤマメという川魚が海に出る。そして産卵のために故郷の川に戻ってくる。海に出たヤマメはサクラマスとなるのだそうだが、ヤマメは知っていたけれどサクラマスは知らなかった。小説にはこういう知識が込められていることが多く勉強になる。
きっと純粋にストーリーを楽しんでおられる方ならユウと千春の未来が気になるところだろうが、私は俄然食べ物寄りで読書しているので、次の食材はなんだろうと気になってくる。季節感にあった食材が紹介されることが多いので次作のお弁当も楽しみだ。