Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#262 西洋文化の中で江戸を思う

 『江戸は浅草 3』知野みさき 著

真一郎の心はお多香へと注がれる。

江戸は浅草3 桃と桜 (講談社文庫)

江戸は浅草3 桃と桜 (講談社文庫)

 

 

とても気に入った時代小説を発見し、もっともっと読みたい!と思うのに現在3巻目までしか出ていない。次の作品はいつになるのだろう。新たな楽しみができて嬉しい限りだ。

 

3巻目では真一郎の想い人、お多香の素性が鍵となる。ところでこの作品は登場人物の名前が美しいことも惹かれた理由の一つだ。「お多香」という名前の美しさの通り、登場人物も凛とした美人。真一郎もまっすぐで飾らず実直な人柄でこれも名前の通りだ。

 

3巻目では久兵衛の別宅を守るお梅と真一郎がついに顔を合わせ、舞台としても登場する。なぜかここで百物語をやろうという趣向となり、またもや久兵衛の一声で長屋の全員が準備をすることになるのだが、お多香だけは野暮用を済ませてからとなかなか長屋のみんなに合流できない。

 

そんな折、ひょんなことから真一郎はお多香が何か身の危険を伴うようなことに巻き込まれているのでは?という思いを強くする。もともと感の良い真一郎は古くからお多香を知るに違いないと思われる人に会いに行き、益々その思いを強くした。

 

お多香は何か秘めたる強さを持つ女性で、真一郎でなくとも惹かれるような美人なのだが凛とした芯の強さからか思ったことへ真っすぐに立ち向かっていくところがある。真一郎はそんなお多香を支えるべく、寄り添おうと決断する。

 

今回はお鈴のお話にもほっこりさせられ、とにかく次が早く読みたい!と思わずにはいられない。3巻まで出ているのだからシリーズ化は確定していると信じたい。

 

ところで著者はカナダにお住まいなのだとか。どうやって江戸の資料を手に入れているのだろう。全く異なった環境の中でこのような作品を生み出せるとは!と圧倒されている。著者の作品は以前に一度読んでいるが他にももっと読んでみたい。GWの楽しみがまた一つ増えたかも。