『江戸は浅草 2』知野みさき 著
江戸に雪女が現る?
浅草が舞台のシリーズものを読み始めた。1巻目はこちら。
2巻目はすっかり六軒長屋の住人として活躍する真一郎が久兵衛の用心棒として事を解決していく姿が描かれている。長屋の登場人物すべてにほろりとさせるような背景があり、普通の町人風情でいながらも秀でた何かを持っているのも読んでいて楽しくなる。
今まで読んできた江戸を舞台とする小説は、侍の仇討ちや八丁堀の捕物など、斬った斬られたの世界が常で、それを解決していくカリスマ主人公がいるという話が多いように思う。個人的な好みで料理シーンが登場するものを多く読んではいるけれど、そこでもやはり温和なようでいて裏の世界が垣間見えることがたまにある。
もちろんこの小説でも一瞬そんな世界をかすっていくシーンもあるのだけれど、真一郎や長屋の人々のキャラクターのせいか凄惨な面にズームしていくことはない。それが非常に読んでいて心地よい。とはいえ、これまた登場人物の心根によるものだけれど、逆に考えさせられるようなシーンも多い。
2巻目では江戸に雪女が登場した!というとんでもない噂がたち、不思議に思った久兵衛より「謎を解け!」との指令が下る。真一郎たちは関係者一人一人を尋ね歩き真相に迫っていくのだが、その会話のやり取りにも六軒長屋の面々がいかに非凡であるかがうかがえる。
2巻まで読んで、これはさっそく3巻もと購入した。3巻で終わりではないと良いのだけれど。長く読んでいきたい作品。