Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#227 肉も魚も野菜もフルーツもありなんて、ポルトガルってばゴージャスすぎる!

 『ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅』馬田草織 著

 お料理からデザートまで、ポルトガルの食の魅力が満載。

ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅

ムイト・ボン!ポルトガルを食べる旅

 

 

以前に読んだ著者の作品をきっかけにすっかりポルトガルに魅了されてしまった。

 

この作品を読んでいる間に京都からお取り寄せまでしてしまい、カステラのご先祖ともいえるパォンデローを食べ「これは一度行かねばならぬ」とまったく知識のなかったポルトガル行きを決心させるほどだった。ただ、こちらの本は文章がメインで写真がない。料理もすべてポルトガル語で説明されているので、一つ一つ検索しながら読み進める必要がある。そういえばこの本はKindleで読んだ。

 

ということで、もっと楽にポルトガルの食に触れてみたいと同じ筆者のこちらを購入。カラーの写真も多く、ポルトガル行きが現実となる日にはきっとこの本を持参するに違いない。著者も現地に知り合いがいるとは言え、バスを使って移動しているのでちょっとした旅行記も兼ねている。

 

さて、そのポルトガル料理なのだが肉も魚介もフルーツも野菜もすべてがある。地産地消が当たり前でむしろそれを推進している国があるなんて聞けば「は?なんで土地のものを食べないの?一番美味しいのに。」と言うだろう。これは著者の筆のなせる技も多分にあるとはいえ、写真からも食材一つ一つがパワフルでどっしりとした重みを感じる。味の深さや香りまでもが届いてきそうで、一度食べたい!と思ったら止まらなくなる。

 

私は下戸なのでワインのお話にそれほど食指が動かない質なのだが、それでも先回の作品に続き微発砲のヴィーニョ・ベルデには心が動く。名前のさわやかさもさることながら、美的なお酒のような気がしてならない。きっとグラス1杯も空けることができずに卒倒するに違いないのだが、是非ひと嘗めしてみたい。

 

食の質が問われる昨今、育てる側も可能な限り有害なものを避け、昔ながらの自然な力で育てることに重きを置いているが、自然栽培では収穫率に影響を与えてしまうわけだから、肥料や農薬の力に頼らざるを得ない。ヨーロッパではBIOがどんどんと市場を席巻し、一部の富裕層の食べ物ではなく一般が手にする食材となりつつある。ポルトガルもヨーロッパの一国でそんな流れに沿っているとは思うのだけれど、この本を読んでいる限りではもともと化学の力に頼らない農業があるようにも感じられた。

 

それは恐らくポルトガルの食事のバランスにあると思う。外務省の資料によると、ポルトガルは日本の1/4の国土に約1千万強の人口がある国とのことだ。穀物自給率も日本とそう変わらない数値だし、畜産も盛んなうえに海がある。1000万人の人口を満たすことができるわけだから、量より質に方針を取ることができるのだろう。歴史を紐解いても多くの文化からの影響があるようで、お皿に乗るメニューを見ていると野菜、肉、魚とバランスが良い。ただ、甘いものには目がないお国柄のようで砂糖を多用するのはよろしくないかも。

 

あまりにもポルトガルのことを知らなさすぎて、この本で初めて知ったことがある。それは、ポルトガルにも島があるということ。首都のリスボンから1000キロほど離れた大西洋のアフリカ寄りの海に数々の島がある。

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さっそくググるとこの辺り。アフリカの真横にも遠く遠く離れた海にぽっかりアソレス諸島、マデイラ諸島などなどがポルトガルなのだそうだ。そのマデイラ諸島はサッカー選手のクリスチアーノ・ロナウドの出身地とのこと。

 

この本ではマデイラについて紹介しているのだが、豊富なフルーツに驚いた。東南アジアかと思うほどのパッションフルーツ、バナナも獲れるそうだからフィリピンや台湾やベトナムのような気候なのかと思いきや、最高気温も30度そこそこ、冬には15度くらいとなんとも過ごしやすそうだ。

 

マデイラはワインの製造も盛んらしく、醸造過程で「加熱」の行程があるらしい。これは大航海時代の知恵で船で長期保存したものが美味しかったことから発展したとのこと。暖かい地域を航行し、樽の中で揺れて熟成されたワインを加熱で再現しようということだろう。著者はお酒がいける口らしく、所々でワインを楽しんでおられるのだがそれが羨ましくてならない。ああ、お酒が飲める体になりたい。

 

先回の本ではお菓子に心が奪われたのだが、この本では写真が加わったこともありがぜん魚と肉料理に目が行った。作ってみたいと思うものも多く、まずは食べてみなくては話にならないのでポルトガル料理店をチェックした。ちょうど近くに良いところがあったのでこれは行ってみなくては。

 

コロナ禍が落ち着いたら何をしようかなと考えることが増えた。今行きたい国はいくつかあるのだけれど、この本を読んでポルトガルがかなり上位にランクイン中である。ポルトガル語も気になるし、戦国時代にポルトガルからやってきた宣教師のことなど歴史にも興味が増し、今かなりポルトガル熱が来ている。話が変わるが、個人的にはロナウドよりもジョゼ・モウリーニョ派です。