Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#172 読み進めるごとに頭の中で勝手に配役を決めたくなってしまいます

 『こいしり』畠中恵 著

なんと、あのお気楽な麻之助に嫁が!

こいしり (文春文庫)

こいしり (文春文庫)

 

 

 なんとなく、本当になんとなくなのだが、この頃どうも面白い本に出合うたびに「この作品でドラマを作るなら誰が適役だろうか」ということを考えながら読む傾向が出て来た。そもそも長く日本を離れていたので平成時代の後半に活躍しておられた方を存じ上げない。なのでとてもとても偏った知識の中で役探しするわけだからなかなか進まず、読書も進まず。

 

この作品の場合、主人公はこの人だ!と思える人を思いついたのだけれど女性陣がなかなか難しい。あと時代劇は主人公の年齢設定が若い。昔は25歳過ぎたら年増と言われ、20歳ですらすでに婚期を逃している風なのでお気に入りの女優さんから選ぶのすら難しい。そんなことをあれこれ考えつつ読み進めるのがこれまた楽しい。

 

さて2巻目。麻之助になんとしっかりものの嫁が来た。しかも親友吉五郎の親戚筋だという。名をお寿ずというのだが、武家の娘らしく意志も強く地に足が付いた印象だ。体の弱い知り合いの武士を足しげく見舞っているうちに「あの二人には何かあるね」と勝手な噂が広がってしまいお寿ずの婚期はどんどんと遠のくばかりだった。そこで吉五郎が麻之助であれば身分としても悪くないし、そんな噂以上に本人の素行の悪さのほうがよっぽど有名なので構わないはず、と縁談を持ち寄る。

 

よっぽど相手がいないと思われていたに違いない。二人の縁談の裏にはお寿ずの策略があった。麻之助と沿うための策略では無論なく、お寿ず自信の「都合」を通すためのもので、それが叶えば婚約は自ら解消するつもりであったはずなのだが、なぜかとんとん拍子に縁談が進んでしまう。しかも廻りにがっちり固められてしまい逃げも隠れもできない。

 

麻之助のたまに見せる心にちょっぴり切なさを感じる。やっぱり畠中ワールドは面白い。ということで、麻之助役にはこっけいさを演じられる人が良いと思うのだ。私の頭の中ではあの人!と決まっているのだけれど、今思えば年齢的にどうだろう。いや、まあいいか。読書がとても楽しい日々が続いている。

 

まあ、今回も親友同士の助けをうけつつ難事を解決する町名主たちではあるが、麻之助の心の中の想い人の影は消えない。