『体をおいしくととのえる!食べる漢方』櫻井大典 監修
食べ物が体を作る。漢方での食べ方指南。
今年はコロナ禍でちょっと体調の変化が出ようものなら「ついに来たか!?」といちいち不安になっていた。もちろん不必要な外出は控えたし、マスクに手洗いも心掛けていた。コロナ情報を最初に聞いたのは去年の12月頃だったから、冬→春→夏→秋、そして今また冬が来ようとしているわけで季節が一巡りすることとなる。ただでさえ季節の変わり目には体調を崩しやすいのに、今年は不安感でより一層敏感になっているような気がする。
11月に入り久々に「日常」が戻ってきたかなと思っていたところへまた感染者の増加のニュース。ワクチンのニュースもちらほら出てきてはいるけれど、まだしばらくは自粛自制の日々が続きそう。
今年の年末はどうなるのだろうか。帰省も難しそうなので、どんな時間を過ごそうか悩ましくもある。在宅勤務も続いていたので有給残がかなりある。どうせ年を越せば消滅してしまうものなので、年末どんと休んでしまいたい気にもなっているのだが、どちらにしても移動は難しいので家にいることとなる。ここはやっぱりヒュッゲを極めるにこしたことない。
ヒュッゲは「ぬくぬく」というイメージがある。そして欧米の冬のレシピを見ていると生姜を使うものが多い。ジンジャーティー、ジンジャーケーキ、ジンジャークッキーなどメインが生姜なものもたくさんあるし、チャイやヴァンショーのようにスパイスを使うドリンクに生姜が登場するものも多い。
生姜は体を温めるというのは知っているし、その考えが漢方から来ているのは知っている。そこで一体生姜ってどう使えばいいのだろうと漢方の本を買ってみた。表紙に「食べる漢方」と大きく書いてあるので、中身を吟味することなくAmazonで購入。
この本は食材別の効能ではなく、体調別におすすめの食べ物を紹介している。本来欲しと思っていたのは食材別だったけれど、それは別のハーブ本でもチェックできるのでかえってこういう一冊でよかったと思った。
まず、漢方的には風邪にもいろいろな種類があるらしく、それぞれの症状で食べ物が異なるということを知った。今まで悪寒があれば葛根湯にホットレモン(自己流レシピ:お酒、はちみつ、レモンやかぼすやすだちやゆずの汁にお湯)や生姜系のドリンク(自己流レシピ:番茶、梅干し、生姜、しょうゆ)を飲んでいた。たまに市販のドリンク剤も飲んだりしていたけれど、治ることもあればよくならないこともあった。
風邪には喉からくるもの、微熱からくるもの、おなかにきたり、寒気がしたりと症状はそれぞれ。それに合わせた処置に違いがあり、症状を和らげる適切な食事法があることを知った。なるほど、だから効かなかったのか。
そもそもは生姜の使い方が知りたかったわけだが、読んでいくうちに自分が日ごろ抱えている問題についての解決法があって嬉しくなった。しかも食べ物で解決できるとはさらに嬉しい限り。
漢方には6つの体質があるらしい。気虚、気滞、血虚、陰虚、瘀血、痰湿で、それぞれ8つくらいの項目をチェックすることで自身の体質を知ることができる。体質別のページには食事のアドバイスと生活習慣の心得が記されているのだが、見ているとアーユルヴェ―ダと通じるものもあり、「おお!」という気になった。
ハーブも上手に取り入れることで体調改善に役立つ場合がある。ただ、和食のレシピでは使いにくい。ハーブの効果についてはヨーロッパでの研究のものが多く、中には生姜のように和洋西洋共通のものもある。ただ食生活が異なるからおすすめレシピも違ってくる。一方漢方やアーユルヴェーダは日本の食生活にも適応させやすいものが多い。例えばこの本の中にある食事のアドバイスでもネギやナスなど近所のスーパーで簡単に手に入るものが並んでいる。
巻末には症状別のおすすめ食材がまとめられているのでとても便利。この冬は食材で体調を整え、ヒュッゲを満喫したい。