Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#136 器の教本、民藝館に行きたくなった

 『伊藤まさこの器えらび』伊藤まさこ 著

器の紹介から盛り付けまで、どこで買うか、どう買うか、お手入れの方法など。

伊藤まさこの器えらび

伊藤まさこの器えらび

 

 

最近はリアル書店で見つけた本もAmazonで購入するようにしている。ちょっと前までは全く気にせずに見つけたタイミングで購入していたのだけれど、持っているのに同じものをまた買ってしまう事件が続いた。本の数冊くらいそんなに大きな打撃ではないでしょう?と思われるかもしれない。でも、このコロナ禍で返品はおろか、中古本として売り出すのもはばかられるし、捨てるのも心が痛む。さらに問題はお金ではなくスペースだ。本の収納には限度があるので同じ本を買ってしまうたびにとても後悔する。10ページくらい読んで「あれ、読んだことあるな」なんていうことを何度か経験し、これは購入履歴をさくっと検索できる方法を取らない限り2重3重買いは無くならないと判断。そこで本の購入はAmazon一択と相成った。

 

昔海外に住んでいた時はHontoの前進bk1を利用していた。理由はここが一番送料が安く、広域対応してくれていたから。今は丸善ジュンク堂と一緒になっており、より取扱書籍も多様化しているはずである。コロナ対応で一部不可となっている地域もあるかもしれないけれど、船便やSAL便なども含め対応して下さっている海外在住者にとってはありがたい書店様である。今回Amazonを選んだのはkindleがあるからで、少しはミスが減るかと期待しているが、ここ数か月それでもたまに同じ本を購入してしまっているので今後はますます注意をしなくては。

 

さて、ずっとずっとずっと気になっていたこの本、ついに購入した。私にとっては冒険だったのだけれど、買って本当に良かった。というか、なぜもっと早くに買わなかった!と自分を責めたい気分である。

 

実は伊藤さんがどのような方なのかを知らずにいた。たまに雑誌でお見掛けすることはあったが、「スタイリスト」の肩書は知っていても「何の」スタイリストなのかがわからなかった。お洋服なのか、コスメなのか、食器なのか、テーブルウェア全般なのか、フードコーディネーターなのか。オールマイティーすぎるのだ。それがよくわからなかったことと、料理関連あまりにも読みたい本が多すぎたせいで、長い間「あとで買う」から脱出することがなかった。

 

それがポイントというありがたい制度のおかげで、今回3冊伊藤まさこさんの書籍をついに!購入するに至ったのだが、まず一番気になっていた器えらびの本から読み始めることにした。

 

この本は伊藤さんがご自宅でお使いになっているものを紹介してくれており、ただ物として器の写真を並べるだけではなく、購入時のエピソードや使い方、そしてお手入れの方法までもを紹介してくれている。特に購入場所としてのショップの紹介は大変興味深かった。

 

実は金沢に行ったことがない。新幹線も通り快適に移動できる旅行地だというのになかなか訪れる機会に恵まれなかった。旅行好きな両親が「金沢は良いところだ」と絶賛していたのでいつか必ずと思いつつも数年が経ってしまっている。そんな金沢には伊藤さんの友人の方が多くおられるようで、素敵なお店がいくつか紹介されている。

 

ここは豆皿から漆器まで骨董品が並んでおり、ホームページ上のギャラリーを拝見すると、ああこれぞ加賀百万石!と変に納得してしまうような豊かさがある。

 

 

こちらもものすごく美しい。食器もさることながら、アクセサリーがとても気になる。

 

料理に限らずインテリアに興味のある人、それこそ断捨離やミニマリストも含め自分が本当に好きだと感じるものだけを暮らしに取り入れたいという人達が日本の民芸に関心を持つようになったのは、本物を求め、本物を愛でる文化が舞い戻ってきたからではないかと思う。何度も書いているけれどファーストファッションも良いけれど、一生モノかというと正直そこまで物の寿命があるとは思えない。ポンと洗濯機に入れられる気軽さがファーストファッションの良さであって、シルクやカシミアのように手洗いするわずらわしさがないわけで、逆に手洗いをすることで生まれる愛着感を備えることはできないだろう。

 

デザインの愛らしさで人気の北欧のインテリアも一点一点に手作り風なぬくもりがある。IKEAの登場は日本のインテリア業界に影響を与えていると思うけれど、本物を求める人はむしろ日本の民芸に向かったのではないだろうかと思う。日本の伝統工芸には機能美もさることながら、耐久性もある。産業品のように360度どの角度からみても全く同じであることを誇るのではなく、それぞれの品が無二の一点ものであり、個性を享受することこそ出会いであり、愛着が増す。

 

伊藤さんの本で紹介されている器はどれも味わいがあり生き生きしている。戸棚の奥にしまい込まれているとっておきの品ではなく、良い品なんだから日常で使って楽しまなくちゃ!という思いが器からも伺える。お仕事でいくつもの器に接しておられると思うので、紹介されているものもすべてが美しく目利きのなせる業だと憧れのため息がでるばかりなのだが、この本は私のような骨董初心者にもわかりやすく「なぜこれなのか」まで一つ一つの器にあるストーリーを紹介してくれているので、まるで美術館や展覧会にいるような気持ちで拝読した。

 

紹介されているお店、一つ一つ訪ねてみたい。素敵なものはきっと手が届かない金額なんだろうな、などと思いつつも写真で紹介されているお店の中に立っていることを想像してみた。

 

まずは民芸館に行ってみようと思う。調べてみると、日本各地に魅力的な民芸館がいくつも存在する。

 

いいなぁ。go to、利用しようかしら。