Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#077 懐かしのエポックメーキング的な一冊

 『夢をかなえるゾウ 1』 水野敬也 著

インドの神様ガネーシャが現れ一日に一つの課題を授ける。

夢をかなえるゾウ1

夢をかなえるゾウ1

 

 

8月に入るや否や唐突に梅雨が明けた。同時に猛暑の到来で俄然夏らしくなってきた。今年は何かにつけ「本当ならは今頃は(オリンピックだったのに)」と思ってしまうのだが、きっと何年か経てば世界各地で「そういえばあのコロナの年はオリンピックも延期になったな。2020年だったよな。」「どこだっけ、オリンピック?」「日本だよ。日本の首都、東京さ!」みたいな会話があったりするんだろうな、とまで妄想してしまうほどに、今年は予定が何一つ立てられない状況が続いている。

 

ふとアマゾンの書籍ランキングを見ていたら、本書のシリーズの4冊目が発売されたとあった。1冊目をかなり楽しく読んだことから、2冊目、3冊目も購入していたがストーリーを思い出せない。まずは新しいものを購入する前に持っている書籍から読んでみようと思い立ち、移動時間を利用してゆっくり読んだ。

 

この本にはちょっとした思い出がある。本書は2007年8月に出版されており、記録的な販売数を誇る。当時はまだ書籍といえば紙媒体で、この本が出たあたりから「蔵書をPDFにしますよ」というサービスが出始めていた。この頃、国を跨いでの転居が続いたこともあり、書籍が負担になっていたことからPDF化のサービスを利用した。たしか200冊ほどだったと思う。数万円の費用が掛かったわけだが、思えばその後一度もそれらの書籍を開いていない。というのも、2010年頃から電子書籍が登場したからだ。

 

私はまずSonyが販売していたSony Readerを購入した。理由は海外からでも書籍の購入が可能だったから。最初はページのめくれ具合や、思い立った時にその読みたいページを即座に開けないなどの不便さを感じはしたものの、重さや一度に大量の書籍を持ち歩けるといった利便性に圧倒された。持ち歩く書籍数が減ったので鞄の中も整理されるし、旅行の時などはまさに大活躍でどれを持っていくべきかで悩む必要もなくなった。

 

今はすっかりKindle派だが、SonyからAmazonへと移行した理由は2010年にIpadが登場し、それに伴いKindleのアプリが登場したからだ。そして、お試しの意味もあったのだろう、いくつかの書籍がほぼ無料で提供されていた。その時に購入したのが、コンマリさんのお片付け本とこの本だった気がする。確か無料だったはず。

 

夢をかなえるゾウが出た頃なんてもうかなり前のことだというのに、割とはっきり覚えているのは読書事情にエポックメーキング的なKindleが登場したことにあると思う。あとはライフハック的なブログをいくつか読んでいたことも懐かしく思い出した。

 

この本は関西弁のガネーシャがある日突然若手サラリーマンの目の前に現れることから始まる。サラリーマンの主人公はインドで自分探しの旅に出た時に買った小さなガネーシャの置物を持っている。ある日酒を飲んでこの置物を相手に酔ってくだを巻いていたら、中から本物のガネーシャが登場する。なぜか関西弁でコミカルだ。ガネーシャは主人公の成長を促すべく一日一つ課題を与えるのだが、よくある自己啓発本にある内容をもっとかみ砕いて説明しつつ実践に移させるようになっているのが本書の特徴かもしれない。主人公の成長が確認できるころ、ガネーシャはどんどん薄くなって消えてしまうのだが、読了後はモチベーションがあがるだけではなく、なんとなくほっこりとした温かさが残る。

 

ああ、こんな本だった。とやっと思い出したわけだが、当時ほど大笑いすることもなく読み切れたのは、きっと著者の最新「うんこドリル」でパワーアップした笑いを読んでしまった後だからかもしれない。

 


それにしても「夢をかなえるゾウ」は自己啓発書の概念を変えた一冊であることは間違いないと思う。実用書的な内容でありつつも、小説のように読ませる力もあり、そして内容が面白い。キャラクターも個性的で、まあ神さまにコミカルなことをさせても許されてしまう日本の文化背景だからこその一冊かもしれないけれど、力を得られる点はいつ読んでも同じだなと感じた。