Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#061 思えば水菜って「京野菜」ですよね

 『新・野菜の便利帳 おいしい編』 板木利隆 著

おいしく頂くという観点でそれぞれの野菜の特徴を説明。

新・野菜の便利帳 おいしい編 (便利帳シリーズ)

新・野菜の便利帳 おいしい編 (便利帳シリーズ)

  • 発売日: 2016/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 昨日のフルーツのシリーズの野菜版。

 


 野菜版は実は初回に出たものを持っていたのだが、今回「おいしい編」と「健康編」に分かれ、装い新たに再登場ということで早速購入した。

 

今年はコロナ禍もあり、健康がテーマにの1年となりそうだ。もともと肉よりは魚、魚よりは野菜派だったので、こういった野菜を美味しく食べる系の本は読んでいるだけで楽しくなる。

 

この頃は産地を気にして食べるようにしているのだが、今や産地どころか収穫時期すらどんどん拡大している印象がある。例えば、まだ平成の前半くらいだったころは水菜などは「京野菜」として売られていた。あの繊細なみずみずしさはサラダにするととってもおいしく、初めて食べた時は感動したものである。それが今や、この本によると、水菜の生産地は1位茨城、2位福岡、3位京都、4位埼玉、5位兵庫と京野菜どころか日本のお馴染み野菜と変わらなくなってしまった。昔に比べて今スーパーで見かける水菜は、依然よりも硬い気もするし、色合いも濃く、雑味も増えた。かつでの繊細な京野菜は生で食べても、お鍋に入れても淡く美しいグリーンがお皿に映え、味も透明感があったのに、すっかり普通の「野菜」になってしまったようで残念な気がする。

 

この本は野菜を美味しく食べることを目標としているので、レシピの他、どの部分をどう食べるとか、旬の時期や国内の年間収穫量のランキングまで網羅されている。産地が異なれば種類や名前も変わるものだが、それもしっかり紹介されている。

 

気になる野菜を調べて、そこから今日の晩御飯のアイデアを得ようというよりは、メニューを決め、買うべき野菜を決めてからチェックしたほうが良いと思われる。どの部分が美味しいとか、どういった料理に合っているなどのアドバイスもあるので役に立ちそう。

 

フルーツは旬が割と守られている。自然の摂理に反する生産で思いつくものといえば、年中ショートケーキの上にのっているイチゴくらいではないだろうか。野菜はハウスものなど、どんどんと改良がおこなわれ、昔に比べて香りも味も変わってしまった。ヨーロッパで市場を散策した時、採れたてのでまだ土の香りのする野菜を見た。レストランで食べた野菜は粗野なところの残った力強い野菜の味がした。

 

日本でもまたああいう野菜が食べられたらいいのになと思うことがある。肥沃な大地の恵みに育てられた野菜が食べたくて、つい地方へ出張に行くときには地元の販売所などに立ち寄ってしまうのだが、そうか東京だから野菜の元気が薄いのか!と気が付いた。もとより産地を自負する地域の野菜たちはやっぱり元気で濃厚で自然そのものを頂いているようで嬉しくなった。もともと日本人は穀物と野菜をメインに食生活を織りなしていたはず。回帰するようなメニューをもっと食べていきたいと思う。