Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#034  中2病ねぇ…

元日経の彼の国専門家。個人的には今日本で一番詳しい方なのではないだろうか。レッドチーム入りまでの過程がわかる本。

米韓同盟消滅(新潮新書)

米韓同盟消滅(新潮新書)

 

彼の国について続けて3冊読んだわけだが、現在新潮でも論考を書いておられる鈴置さんは今日本で一番信頼を置ける彼の国専門家だと思う。昨日まで読んできた武藤元大使の書籍の答え合わせるをするようなつもりで隅々まで読んだ。武藤元大使の本は彼の国人の登場人物が多くなかなかすっと入ってこないところもあった。こちらはその煩わしさがあまりないので読みやすい。

 

今年は「リ◯カブス」という名言まで登場したが、こちらの本では「中2病」と断定している。結局過去の歴史を含め、劣等感があまりにも多くそれが翻って「中2病」をこじらせてしまっているというところだろうか。

 

彼らは今、レッドチームに向かってまっしぐらなわけだが、反米にも力をいれておられるようだ。反日も今では卑日に精を出し毎日勤勉に世界に日本の非動さをアピールしておられる。その理由は、こうだ。

 

世話になったからこそ、韓国人は反米になるのだ。全力で戦った日本に対し、米国人は敬意を払う。少なくとも下に見はしない。だから日本と米国は対等の関係にある。だが米国人は「いつも助けてやっている韓国」をまともな国として扱わない。この悔しさは日本人には分かるまい。

 

確かに日本人にはわかりえない。私達はそもそも国と国との関係に上下の位置づけなどなんの意味もないということを知っているので、ここまで卑屈にならないと思う。そもそもまともな国として扱わないのではなく、まともな国として扱ってもらえるような行動をしましたか?と逆に問いたいのだが、彼らとしてはやはり「中2病」なわけだから、すごい俺を内外に評価して欲しいということだろうか。

 

「韓国は疾風怒濤の時代を迎えている」。2015年秋のことだ。熱に浮かされたように感情のままに動く韓国を、国民的な文学運動、疾風怒濤──理性万能主義に抗し、感性の解放を唱えた──が吹きあれた、18世紀後半のドイツに例えたのだ。「疾風怒濤」は外国の模倣を脱し、民族的なものを重視した。この識者は付け加えた。「当時のドイツのように今の韓国も、国民国家として青年期にある」。自らを一人前の立派な国だと認識し始めた。だが、世界からはそうは扱われないし、自信も持ちきれない。そこで「自分は他者とは異なる特別の存在である」ことを示そうとし、奇妙な行動に出る──という説明である。

 

 青年期。つまり、中2ということ。そして訳もなく「俺はすごいんだ」と自信過剰になっている。彼らがスーパーな俺!を自負するようになったのにはいくつかのターニングポイントがあり、その一つが1998年の通貨危機を乗り越えたことにあったらしい。思えばその通貨危機についても日本はなぜかひどく言われているわけだが、この本によると日銀はサポートするつもりでいたが米国からストップがかかったらしい。

 

タイやインドネシアの人々は危機から立ち直っても別段、自分が優れた存在とは考えなかった。東南アジアの国々は日本の援助に助けられてきたが、精神的には依存していなかったからだ。『中二病取扱説明書』という本は、この病の典型的な症状の1つに「邪気眼系(妄想系)」をあげる。「自分には隠された力があると信じている(またはそういうキャラ作りをしている)人たち」(2ページ)だ。

 

これは言われてなるほどと思った。確かにタイやインドネシアの人々も危機を乗り越えている。タイは王室があり、自国の伝統や文化を持っている。国土も豊かで植民地となった経験もない。インドネシアは今や2億5千万人を超える人口を持つ東南アジアのビッグ・カントリーになりつつある。多民族国家で宗教も多彩。資源も多く豊かな国である。もっと「すごい!」わけだが、それをアピールするというか認めてもらいたくてたまらない国というのは彼の国だけではないだろうか。

 

朴槿恵弾劾騒動の中で国全体に中二病の毒が回り、自分たちが自己賛美という病に罹っているとは誰も恐ろしくて指摘できなくなっていたのだ。思春期の青年を下手に刺激すると、逆切れされるのがオチだからである。 

 

昨今、母国がいやだと海外に出る彼の国人が増えているとのことだ。今まで仕事で出会った方々を思い出すと日本の大学を卒業してそのままこちらで就職したとのことだった。就職先ももともと半島にゆかりのある方が経営者である企業も多く、バブル後でもすんなり就職できたそうだ。そのまま10年も20年も日本にいる。たまたまかもしれないが、私があった人たちの配偶者は日本人ではない場合が多かった。長く日本に暮らしてはいるけれど、やはり気質は私達とは異なると思ったことを思い出した。

 

自国の政治に経済に絶望するとして、なぜ外国に暮らすことを考えるのだろうか。自国で弾圧されるから、自由に自分の意見を言えないから、周りの人がみんな中2病だからという理由で海外に出ることで一時的には開放されるだろう。もう中2病は治らないから仕方がないでは困るのだ。自分の国が嫌だからと他国に寄生することしか答えを見いだせないというのはどうだろう。迎える側である我々は彼らをどう迎えるべきなんだろうか。個人的には大歓迎というよりは他の方法は本当にありませんでしたか?と問いたい。でもそう言うと「亡命」とか大げさに騒ぐんだろうなという想像も容易にできる。

 

今となってはレッドチーム入りと聞いても驚くことはない。むしろすでに片足突っ込んでいるくらいの状況だと思う。レッドチームに入り、彼らは気がつくのだろうか。あれ、なんか勘違いしてた!と思う人はどのくらいいるのだろうか。

 

それにしても中2病とはなんとぴったりな。