Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#020 ジュニア新書と侮るなかれ!英語の構造やクセがわかる本

英語の翻訳をするとき、辞書で調べたのにどうしてもうまく訳せないことありませんか?ジュニア新書とはいえ、大人の私たちでも「知らなかった!」と思うような英語の表現がわかる東京大学 行方先生の英語本です。

英語の発想がよくわかる表現50 (岩波ジュニア新書)
 

 「英語好きな若いみなさんに、学校で聞いていないし、普通の参考書にもめったに出ていない英語についての大事な情報を、時に実用とはかけはなれているように見えるエピソードを交えながら、様々な語り口で提供しています。」

いきなりあとがきからの引用です。

 

平成や令和の時代に英語を学ぶ 「若いみなさん」はこんなにレベルの高い英語を学んでおられるの!?と驚いてしまいました。

 

著者の行方昭夫先生は東京大学教養学部イギリス科を卒業されたのち、現在は東京大学の名誉教授、東洋学園大学の名誉教授でいらっしゃる英米文学者です。英文学や英語学習に関する書籍を数多く出版しておられます。

 

岩波ジュニア新書は小中学生から大人までを対象とした幅広く読める入門新書とのこと。入門どころか出てくる単語も大学生レベルのものも多いですし、例文としてあげられている作品が英文学の代表作だったりするので、むしろこれをフムフムと読みこなせる小中学生…。レベル高すぎです!!!

 

ひとつの章が3~4ページにまとめられていて、最後に文中にあった例文がまとめられています。全部まとめると50構文になりますが、文法テキストのような内容ではなく翻訳に役立つような、むしろ教科書ではなかなか出てこないような文章です。

 

文法の仕組みを説明するのではなく、著者が経験した「ああ、こういう意味か!」なエピソードや、大学の授業で学生さんたちが間違いがちだった単語の訳し方をテーマに短く、読みやすく、まとめられています。

 

例えば「a few」。

She reads a few books every week.

これは「彼女は毎週数冊の本を読みます。」ということで、a fewはまあ2~3冊とかそんな感じですよね。

 

じゃあ「quite a few」は?

「まったく」という意味のquiteがついてますので、a fewを強調してるのかな?だったら「ごく少しの」という意味かな?と想像されがち。でもこれは「非常にたくさんの」という意味です。

 

この表現、著者が学生だった頃には辞書に出ていなかったそうです。当時はそれほど英会話を流暢にという方が少なかった時代。ある日、学問としての英語のレベルは素晴らしいのですが、いざ英語を話してみると強く日本語訛りが出るという先輩がネイティブの方と英語でお話をしていた時のことです。そのネイティブの方が笑いながら「He makes quite a few mistakes in his talk.」と著者に語ったとのこと。最初は「quite a few」は「ごく少しの」と想像したので、先輩はほとんどミスを犯すことなく英語が話せるのか!と思ったのだそうですが、そのまま話していて「ん?これは違うぞ」と思うことがあったそうです。その後数年たってからやっと辞書に意味が出始めたというエピソードが添えられています。

 

このほかにもandの使い方や、無生物主語の上手な使い方など和訳だけではなく英訳でも間違えてしまいそうな構文について学ぶことができます。exciting, excitedがいつもよくわからなくなる人は必読。

 

エピソードが面白いので英文もすんなり覚えてしまいます。入門書ということで文章も堅苦しくはなく、ああ昔これわからなかったんだよね!な部分の理解が深まるはずです。