Dahlia's book log だりあの本棚

読書で得た喜びをここに記録として残します。 こんな本を読みましたという備忘録として。

#324 古典推理小説を楽しむ夏、1段目です!

 『スタイルズ荘の怪事件』アガサ・クリスティー

ポアロシリーズ第1弾。

 

この夏、アガサクリスティーの作品を読むことに決めた。この間のAmazonセール時に早川文庫のクリスティー文庫作品を購入しすでに準備は万端。基準はクリスティー文庫を1から順番に読んでいくという流れで、ざっと書籍数を見ても完読するまでには数か月かかるのかなーという感じ。アガサだけでも冊数が多いためカテゴリーに早速「推理小説」と「アガサ・クリスティー」を設けてみた。

 

さて、初めて読むアガサ作品だけれども、アガサを読んでいる間は本国でのタイトルや出版日などの基本情報や翻訳家さんにも注目したいと思っている。

 

Title: The Mysterious Affair at Styles

Publication date: Octover 1920 

Translater: 矢沢聖子

 

さて、本作品の巻頭にはMathew Prichard氏による「スタイルズ荘の怪人」によせてという文章がある。

 

一 九 二 〇 年 は 推理小説 の 創作 にとって きわめて 重要 な 年 でし た。 アガサ・クリスティー の 本 が 初めて イギリス で 出版 さ れ、 この 種 の フィクション に 一 時代 を 画し た の です。 アガサ・クリスティー は 一 九 二 〇 年 から だいたい 一 九 七 〇 年 ごろ までに 八十 篇 近い 長篇 小説 を 書き まし た が、 これ は その 最初 の 作品 でし た。 アガサ・クリスティー が 二十世紀 で もっとも 創作 力 豊か な 作家 で ある こと は 広く 認め られる ところ でしょ う が、 そもそも 彼女 が どんな きっかけ で 小説 を 書く よう に なっ た のか、 興味 を いだか れる 読者 も 少なく ない でしょ う。 事 の 起こり は インフルエンザ でし た。『 スタイルズ 荘 の 怪 事件』 が 出版 さ れる 十 二 年 ほど 前、 アガサ は 病床 で もう 読む 本 が なくなっ た と 母 に 訴え た の です。「 それなら、 自分 で 書い て み たら」 と 彼女 の 母 は 答え まし た。 その 結果、 アガサ 自身 に よれ ば、 ぱっと し ない、 どちら かと いえ ば 退屈 な 数 篇 の ロマンス 小説 が つくら れ まし た。 その後、 第一次世界大戦 中 に 病院 の 薬局 で 働い た 経験 に 触発 さ れ、 また、 悪 や 犯罪 や 人間 の 本性 に 関心 が あっ た こと から、 彼女 の 最初 の ミステリ『 スタイルズ 荘』 が 生まれ た の です。 多大 な 努力 と 決意 と 集中 力 を 傾け、 執筆 に 専念 する ため に しばらく 家 を 離れ て 書きあげ た 原稿 は 結局 四つ か 五つ の 出版社 から 送り返さ れ て しまい まし た。 しかし、 ついに ボドリー・ヘッド 社 が『 スタイルズ 荘』 の 出版 を 承諾 し た の でし た。 アガサ は 大いに 喜ん だ でしょ う が、 同時に いささか びっくり し た こと でしょ う。 こうして、 作家 として の 道 が 開か れ、 今日 に 至る まで 無数 の 読者 に かぎり ない 楽しみ を 提供 する こと に なっ た の です。

 

プリチャード氏はアガサの娘ロザリンドの息子さんだそうで、アガサ・クリスティー社の会長を務めておられるらしい。検索したら動画もあった。



読む本が無くなったので書き始めた作品が本書で、しかも長編で、アガサが20代後半に書かれたものとのこと。Amazonの内容によると、クリスティー文庫の場合の本作品(多分文庫本)の長さは361ページだそう。Kindleだとフォントの大きさが変更できるため、ページ数よりも「今、全体の何%を読んだ」という感じで読書計画を立てるようになった。本当はじっくり落ち着いて一気に読みたかったのだけれど、どうしても途切れ途切れの読書になってしまい、合わせると多分7時間くらい?で完読できたと思う。至福のアガサ1冊目。

 

アガサ作品の中で主人公として有名なのは「ポアロ」と「ミス・マープル」でBBCなどでドラマ化されていることから、冒頭の登場人物の紹介で「これはポアロシリーズだな!」とすぐにわかった。

 

さて、第1段目のポアロシリーズ、主役は2人いる。

 

Hercule Poirot(エルキュール・ポアロ

この方が主人公で次々と問題を解決していく。元ベルギーの警察官で、今は退官し探偵として活躍中。小柄で緑の目で身だしなみを非常に気にする紳士。たまに没頭しすぎて変な行動をとったりする。

 

Arthur Hastings(アーサー・ヘイスティングズ

ポアロの友人。第一次大戦時に負傷により予備役についている。結構惚れやすい系。美人を見るとすぐに心奪われがち。彼が語り手となりストーリーが進む。

 

イギリス推理小説の古典であるコナン・ドイルシャーロック・ホームズのような探偵になりたい!とヘイスティングズが語っているところによると、やはり当時のイギリスの皆さんは影響を受けていたんだろうなと思う。しかしもちろんヘイスティングズがシャーロックの役割を担うことはなく、むしろワトソンほどにも役立ってないという面白さもあり、ドイルへ敬意を感じたりもした。ポアロヘイスティングズだが、シャーロックとワトソンの関係とも異なる微妙なバランスで事件を解決へと導いていく。共通点をあえて挙げるのであれば、シャーロックにしてもポアロにしても独特なエキセントリックさがあり、もしかすると読者はそういう奇妙なところに賢さなどの非凡さを見出し奇抜なストーリーを求めているのかも、と考えられなくもない。

 

今回はイギリスのエセックスにある友人宅を訪れていたヘイスティングズだが、そこで偶然にも殺人事件が起こってしまう。ヘイスティングズの友人がスタイルズ荘の所有者で、ポアロはたまたまベルギーの友人とエセックスを訪れており、ばったりヘイスティングズに再開する。ポアロの事件を解決するすご腕を説明し、地元警察と強力しながらも真相を暴いていくという内容だ。

 

今回の翻訳者は矢沢聖子さんという方で、調べてみると本作以外にも多くの推理小説英米文学、自己啓発書などが上がってきた。そのほかのパーソナルデータとしては1951年生まれ、津田塾大学学芸部卒、英米文学翻訳家程度しかヒットしてこない。

 

主人公のポアロがベルギー人でフランス語を母国語としていることから、ちょっとしたフランス語が頻繁に登場する。矢沢さんの翻訳はポワロの気品も上手に表現されているし、凄腕の警察官であり今は探偵でちょっと変わり者という気質までも見事に表現されていたと思う。また、ヘイスティングズが軍人という立場でありながら、美しい女性に惹かれたり、ポアロの推理の過程で深みに達せずにいる場面などもキャラクターの若者らしい軽さが見られて面白かった。

 

そのほか登場する人物もそれぞれの「格」がしっかり伝わり、最後まで違和感なく読むことができた。ストーリー自体の面白さもあるけれど、翻訳がスムーズであったことも楽しみを倍増させた理由かと思う。ところで、検索してみるとポワロという表記も出てくる。1冊目の矢沢さんの訳ではポアロとなっているのでここではポアロで統一したい。

 

アガサシリーズについては個人の評価も加えておきたいと思う。5点満点で全体的な満足度、どのくらい楽しく読めたか、翻訳は読みやすかったかを記録したいと思う。

 

評価:★★★★

おもしろさ:★★★★

読みやすさ:★★★★ 

#323 ガイドさんと共に推理小説の夏を満喫する予定です

アガサ・クリスティー完全攻略』霜月蒼 著

クリスティのシリーズを全作紹介。

 

 

先週はなかなかテレビもネットもチェックする余裕がなく、金曜あたりから「なんか暑い」と思っていたらいつのまにか梅雨明けしていた。梅雨が明けた途端に本気の夏がやってきた感じ。ふだんは折り畳みの傘をカバンに入れていたけれど、今日からは日傘に変更するほどの暑さ。

 

夏休みが近づく頃になると新聞や電車の吊り広告に、まるで「かき氷はじめました」くらいの親近感とともに夏の読書を促す出版社の広告が登場する。夏休みの宿題の定番が読書感想文の提出であるせいだろうか、夏に作品紹介を行おうという趣旨のもとにスタートしたのかもしれないけれど、読書好きには効果てきめんで「夏こそ読書だ!」とあれこれと図書館から本を借りた記憶がある。文庫本もいくつか購入し、どうせどこに行く予定があるわけでもなかったので小中高の夏は自宅でずっと本を読んで過ごしていた。私のまわりには豪勢に夏休みを利用して海外旅行に出かけるような余裕のある人もいなかったし、せいぜいお盆に両親の実家に帰省するくらいだったと思う。

 

特に新潮社の夏の100冊はものすごく心躍るものがあって、子供のころは100という数字は「ものすごくたくさん」という感覚だったから、自分の知らない面白そうな本を見つけては次に読む本のリストを作ったりして読書ライフを妄想していた。特に新潮文庫の海外小説をよく読んでおり、新しい翻訳が出るのを楽しみにしていた。

 

 

大人になっても子供のころと変わらずに読書好きなわけだけれど、これも子供時代に出版社の作戦を素直に受けた影響なのか、なぜか夏は推理小説を読まなければという気持ちになる。一向に涼しくなんてならないのだけれど、本来はホラーや怪奇小説など背筋が凍えるようなジャンルを読むべきなのだろう。ゲゲゲの鬼太郎ですら怖くて見れないような子供だった私は、その怖いものが苦手精神のせいで100歩譲って殺人事件で冷えを実現しようという考えになったのかもしれない。そしてできるだけ海外の作品を読むようにしていた。だって日本のものだとフィクションめいていて余計に怖いし、地獄谷とか地名そのものが恐ろしいところで、しかも本当に実在する地名っていうだけでもリアル感あるのにそこで殺人事件が起きるだなんて、絶対にあとで旅行とかいけないだろうと予想、子供ながらに賢い判断であったと思う。

 

ということで、高校生くらいのころから夏はシャーロックホームズを読んでいた。ホームズは映画やドラマ化が進んでいるのでそれこそたくさんのシリーズがあるわけだけれど、何と言っても2010年のBBCのドラマは最高だった。

 



これを見てからは苦手だった推理ものや事件もののドラマなんかも平気で見られる大人になったと思う。

 

ホームズシリーズはどれをいつ読んでも新たなワクワクがあったし、私は新潮文庫版を読んでいたのだけれど、翻訳という仕事の偉大さに感動したのも本作を読んだからだ。とにかく、シャーロックホームズのシリーズを読んだことは私の中では読書における「大人の扉」を開けたエポックメーキング的な記憶となっている。

 

そのうちに他の推理小説も読んでみたいという思いが高まるが、ひとつどうしても高い壁に阻まれている作品があった。長い間じりじりと手を出せずにいた作者の存在はいつも頭の片隅に引っ掛かっていた。そう、アガサ・クリスティー。子供の頃から名前は知っていたけどタイトルも表紙もなんとなく怖いしと手を出すことはなかった。大人になり、いざ推理小説でも読もうかなという気分になった時でもクリスティーはシリーズたくさんありすぎてどれから読むべきなのかわからん、という理由でやっぱり手を出さずにいた。更には書籍を購入するとなると冊数が多いため金額的負担が大きかったことも距離を置く要因となっていた。

 

しかしミステリー界の巨匠としてクリスティの名を挙げる人は多く、こちらもコナン・ドイル同様映像化も多い上に作品からインスピレーションを得たという人のコメントなどを多数目にする機会が急に増え、去年あたりから「そろそろ満を持してのクリスティ」が来た!と思わせる出来事が重なっていたところだった。

 

そんな私を後押しするかのように数か月前Amazonがひっそりとセールを実施。その中に早川書房のクリスティ文庫がなんと半額で提供されていることを発見!今、早川書房のクリスティ文庫のページを見たら、106件の書籍が出て来たので例え半額でも全て揃えれば数万円だ。しかもKindleなので書籍を保管する場所の心配もなく、それでいて半額!これはチャンス以外の何物でもなく、ある意味「今読め」という見えない世界からの伝達とばかりにセール品としてあがっていたものを全てお買い上げという大胆行動に出たのである。新訳が出ているものもあったけれど、あえて旧訳を購入してみた。そのうち新訳も購入するかも。

 

ということで、2021年の夏は「アガサ・クリスティーを読み倒す夏」ということになった。しかし、だ。作品数が多すぎてどの順で読むべきなのかが検討がつかない。調べているうちに本書を知り、早速購入。著者はクリスティーの作品を全作完読したという猛者で、それぞれの作品の紹介から読書の愉しみ方をポイント化しており大変にファンっぷりの熱い方である。私はネタバレには慎重派なので、この書籍は読む順番を指導してくれるガイドブックとして活用することにした。

 

クリスティー文庫には番号が付けられており、その1番から順に解説しているとのことなので、私もそれに倣って読んでいくつもり。そして読んだ後に初めて、本書の内容と感想部分に触れることで妄想での意見交換を行う予定である。きっと読み落としていたり、時代背景を把握していなかったりということも本書を参考に読み進めて行けば理解度が深まるものと思っている。まだ1冊目のタイトルを確認したまでの段階なので、全巻読み終えた後にまた追記したいと思う。

 

夏休みスタート with アガサ・クリスティー

 

 

#322 甚平着て海外旅行されている面白い人の旅行記

 『つかれたときに読む海外旅日記』五箇野人 著

ディープな国を一人旅。

 

ヨーロッパのニュースを見ていると、ワクチン接種を終えた人は「ワクチンパスポート」なるものの提示で割と自由に旅ができている模様。バカンスシーズンで海外への渡航者も増えているし、イギリスなどはウィンブルドンもサッカーもノーマスクで観戦している人も多かった。そういう日本も来週からはオリンピックなわけで、いったいどうなることやら。海外旅行なんてまた先も先の話だなーと気分がなかなか晴れずにいる。

 

今年は夏休みを分散して取ることにした。幸い今年の夏は所々に祝祭日があり、どうせ使えぬ有休日、ド派手に使ってやろう!と三月に渡って1週間程度の休みを取得する計画だ。そしてその間にできればワクチン接種や歯医者などの検診も済ませてしまいたいと思っている。本当ならば近場の海外、特に台湾あたりで美味しいもの三昧したいところなのだけれど、なかなか状況がそれを許さない。この頃は航空会社さんもあの手この手で機内の雰囲気を味わえるような作戦を打ち出してきており、この間ネットで見たニュースではファーストクラス用の椅子とか、機内食とか、機内で使うカートとかを一般用に売り出しているのだとか。

 

話しはヨーロッパに戻るが、ヨーロッパの場合は飛行機で2時間程度のフライトで訪問できる外国がたくさんある。飛行機のみならず、列車で、車で、船でと移動手段も多岐に渡り、その上バカンスをどかんと月間単位で取るシステムもかなりかなり羨ましい限り。アジアで言えば南アジアあたりが似たような状況なのかもしれないけれど、国の面積がヨーロッパのほうが若干小ぶりなのでもう少し気軽に回れるのかもしれない。

 

昔ディープなアジア旅行の本が好きでよく読んでいた。絶対にこれは『深夜特急(1~6)合本版(新潮文庫)【増補新版】』の影響だと思うのだけれど、亜熱帯気候のじとっとした汗ばむような気候の中での混沌とした人の営みに「これこそディープ!」と旅に出てみたくなったのだが、結局初めてアジアの国を旅したのは仕事をするようになってからで、お仕事でお会いする人はみなディープどころかかなり洗練されていて「想像していたアジアと違うぞ」と何度も思ったものだ。

 

そんなディープな国でのディープな交わりが描かれているのが本書。お一人で恐らく治安や衛生観念に若干不安のありそうな国を旅しておられる。しかも男性が、甚平来て歩いてたらちょっと空手風だったりもしてむしろ安全なのかもしれない。

 

それにしてもこういう旅についての作品を読むたびに思うのだが、私は学生時代から一人旅をしてきたのだけれど、こんなネタになりそうな事件が起こったことは一度もない。住む段階になりようやく小話程度のネタはできたけれど、それすら全く笑いを取れないというものばかり。やっぱり人として面白い人でなくてはいろいろなものを見落としてしまうのかもと思った。

 

私もヨーロッパは何度か一人旅しているけれど、著者に掛かればこんなことが起こっている。

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いやいや、道で人にぶつかりそうになったことなんて一度もないし、窓からタバコ催促されることもなかったし、極めつけてにAssholeってどんだけ!私も一度でいいから忍者扱いされたり、空手試されたりしたかった。

 

そういえば数年前に北海道で大きな地震が起きたとき、「北海道に旅行中の人と連絡が取れない」とヘルプの電話やメールを随分受けたことがある。皆さん日本語は全くできず、乳飲み子を連れているとか、恋人の同僚とか、知り合いの親とか、「日本人の友達いるからまかせて!」と軽い気持ちで連絡してきたに違いない友人たち、私も昔世話になったしなと教えてもらった連絡先に電話して状況聞いてホテルの部屋を予約するなどのお手伝いをした。その時に思ったことがある。ホテルの方も地震でご自宅がどうなっているかもわからず心配が募ることだったろうと思うのだけれど、宿泊難民と化した外国人旅行者に温かい手を差し伸べ、明るい気持ちで対応するように心がけておられた。お客の側も「どうしてくれるんだ!」と叫んでいる人は本当に一部で、みなさん静かに対応されていたように思う。その中でも現状に悲観し嘆き悲しむのではなく、楽しんじゃえ!的な人はなんでもプラス思考でこちらがかえって笑ってしまうほどだった。さすがあの友の知人たち、レベル違う!としみじみと思ったのだけれど、この著者もきっとどんな場面でも全てを面白く受け入れることができるタイプの方なのかな、と羨ましく思った。

 

で、検索してみるとやっぱり面白い人だった。


面白い旅行記を書くにには、なんでも面白がれる人になれなくちゃダメなんだな、と納得。

#321 インド、深いです。ヨガもアーユルヴェーダもチャクラも神話もみんな繋がってるんですね!

 『ヨガのポーズの意味と理論がわかる本』西川眞知子 著

45のポーズの意味を掘り下げる。

 

「日常にヨガを!」気分はすっかりヨガ修行僧で、少しずつ動画を見ながら体を動かしている。しかし気持ちはものすごくものすごく前向きプラスひたむきなのに、HOWの部分が抜け落ちた状態で心ばかりが先走っている。手持ちの服がびっくりするくらいに似合わなくなったことと、似合わないどころか入らない!という事態に陥り心を入れ替えることにした話は今週ずっと書いてきた。食べ方を変え、体と心のために独学でヨガをする。そのために本を3冊購入したのだけれど、2冊は正しいポーズの取り方とポーズの組み合わせのために、1冊は理論を補うために購入。本書はその後者にあたる。

 

昔からインドア派の私にとって、実際にボールを持ってゲームをするよりもルールブックを読むほうが気持ちが上がるタイプだったので、体で覚える!というセンスがものを言うスタイルはハードルが高い。目の前でさらっと踊って「さあ、やってみて!」と言われてすぐに踊れちゃう人がいるけれど、私は絶対にその場で固まるタイプ。むしろ本でも読んで事前に予習しておかないと体をどう動かすべきかわからずにおろおろしてしまう運動オンチ(今この言い方ってまだ使うのかな…)の気持ちは運動神経の際立った方には理解不能のことだろう。体動かすために本って…て思うんだろうなぁとは予想できるのだけれど、本気で予習がないと全ての動きが中途半端になり、絶対に覚えられないという自信がある。それもかなり満々。

 

この本は「まさにこれ!」とかゆい所に手が届いてしまいすぎて、変な感嘆詞を発しながら読書を進めることになるほど感銘を受けた。何がそんなに良かったのかと言うと、この頃ずっと取り入れているアーユルヴェーダとヨガが合体していることと、日本がヨガを取り入れてきた歴史を紹介するところで仏教とのつながりなどが感じられた点が特によかった。

 

ヨガは紛れもなくインドの文化で、考え方にヒンズー教や仏教が垣間見えることがあるように思う。体の中に宇宙があるというような考え方はアーユルヴェーダにも通じるようで、ヨガもアーユルヴェーダボリウッドもみんなつながってるんだな、と感慨深い気持ちになる。ボリウッドも最初は歌って踊って英雄たちが大騒ぎなものかと思っていたのだけれど、アーユルヴェーダについて学んでいくうちにストーリーの背景にインドの神話だったり道徳だったり宗教だったり、いわゆる行間のメッセージを感じられるようになってきた。そうなると俄然楽しさが増す。インド美人の美容ティップについてもアーユルヴェーダがベースになっていたりして、それもたどると深い深いインド文化につきあたる。

 

著者はインドで修行をされたり、北米などでも学ばれた経験があり、日本にヨガを紹介した著名人のレッスンなども受けておられる。ヨガを人生哲学としてご自身のスタイルをすでにお持ちなのだろうと是非他の書籍があるなら読んでみたくなり早速検索してみたら、アーユルヴェーダ関連の著書の方が多く、あとから読みたいと購入してある難しめの書籍も著者のものだったことがわかり驚いた。

 

ヨガとアーユルヴェーダ、そしてチャクラの概念が繋げるにあたり、ポーズをどう解くかを意識するということでインドの三柱の神様のお話がある。

 

ブラフマー:ものごとの始まりに関わる創造の神

ヴィシュヌ:新たな世界や開けたり新たなことが起こったあと、現状維持を担う神

シヴァ:消えていくこと、破壊の神

 

著者はこれをヨガにもなぞらえていて、今の日本のヨガはポーズを上手にとることにフォーカスしすぎているのでは?と疑問を呈している。ポーズを取るというのはブラフマーの役割で創造にあたるわけだけれど、ポーズを一瞬キメるわけではなく維持しなくてはならない。特にどのようにポーズを終わらせるか、それをもっと大切にすべきだと言っている。インドではヨガの神様としてシヴァ神が大切にされているそうで、ポーズを丁寧に解いていくこと、ゆっくりと終わりに向けて進み、しっかり終止符を打つような動作がヨガにも必要とのことであった。この部分にものすごく感銘を受けた。

 

そして、ヨガのレジェンド項目でいくつか紹介されていた書籍にも興味が湧いた。もちろんポーズについての指導もあって、45のポーズが紹介されている。今回買った3冊を丁寧に使い込んでいくことで独学ヨガも可能なような気がしてきた。

 

ひとまず本書のおかげで三日坊主にならないだろうなという予感がみなぎっただけでもすでにプラス。なんだろう、妙にワクワク。 

#320 手元に信頼できる教科書を置いて独学でヨガを試してみようと思います

 『YOGAポーズの教科書』綿本彰 著

100のポーズとポイントを指導。

YOGAポーズの教科書

 

「やばい」と思ってから即購入したのが小食とヨガの指南書で、今週から一気にライフスタイルの改善に取り組んでいる。志は大きく、今から10キロ痩せたい。それを1年くらいでゆるゆる達成したいと思っている。ちなみに太った10キロの内訳だが、最初の5キロは日本に帰国した反動で今まで夢に見ていた美味しいものや食べたかったものを遠慮なく食べていたら帰国1年で5キロ太った。残りの5キロはコロナ禍でぐうたら生活しているうちにあっという間に増量。着れる服も無くなり焦って追加購入したのはよいのだけれど、ぜんぜん素敵に仕上がらないので服じゃなく自分を変えることにした。

 

そして健康面でも太っていることは良い事とは言えないだろう。「体を動かす=通勤」な状態が続いているし、社内ではほぼ座っていて人との会話も限られるのでエネルギー消費効率が極めて悪い。よく簡単なことから始めようという意味合いで「エスカレーターではなく階段を使いましょう!」というのがあるけれど、大江戸線くらい地下深く掘られた路線ならまだしも、駅の階段なんてせいぜい数十段で普段から階段派だったにも関わらずあっけなく太ってしまった。座ってばかりの時間が長いのでどんどんと気持ち的にも負荷がかかってきているようにも思える。ここで意思の強い方ならば毎日10キロ歩くとか、毎日10キロ走るとか、筋トレやりまくるとか、いろいろな形で体を動かすプランを取り入れるのだろうけれど、私にはその方法は向いていない上に続けられることに重点を置いてヨガやストレッチで整えていくことに決めた。

 

昨日も書いたけれど、ヨガはなにもお教室での習い事ではない。独学だって可能なわけで、動画や書籍でも学べるようになってきた。多分、もし間違ったポーズを取っているならば体が逆に蝕まれていくはずだ。だって痛いし。

 

本書を購入したのは、「基準」を手元でチェックしたいと思ったからだ。ヨガはポーズの流れで体を作っていくものなので、一つのポーズを正しく取れなければ意味がない。むしろ無理してやったところでなんの効果もないはず。どのくらいならば外れててもいいのか、補助機材を使っていいのか、そんなところを点検するように購入した。

 

著者はヨガ業界では大変に有名な方のようで書籍も多い。数十年前に出された書籍もチェックしたけれどお姿が全く変わらないのでヨガにはアンチエイジング効果もあるのかな?と思わせるほどだ。

 

「はじめに」のところが面白い。

 

 ヨガを3日続けると身体の不調が緩和し、3週間続けると心の調子がすこぶるよくなり、3か月続けると体形や体質が別人のように改善し、そして3年続けると身体の節々が痛くなる(笑)…。

 これは私がワークショップなどでよく言う冗談なのですが、残念ながら多くの方のリアルな声、つまり事実でもあります。

 ヨガのポーズは、雑な言い方をすれば、関節技を自分にかけているようなものですから、やり方を間違えれば体を傷めるのは当たり前。それでも3年ほどは調子がよくなっていくのは、運動不足が解消していくからなのです。

 

なんとウィットに飛んだコメントだろう。この部分を読んだだけでも買って良かったと心底思えてしまうくらいに信頼度が高まった。以前、腰痛がひどかった時に整体の先生が「ヨガは体を痛めます」と言っていたけれど、ヨガのインストラクターからはそのような意見を聞いたことがなかったのでちょっと眉唾に思っていたところだ。

 

3年続けても大丈夫なように、一つ一つのポーズの特徴が記されている。見開きでポーズや呼吸の方法を写真付きで紹介し、加えてこのポーズがどのような意味を持つもので、どの段階で取り入れ、どんな性質の運動となるのかなどもまとめてある。

 

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実はヨガの本は3冊購入し、本書が2番目に読んだもの。動画メインの独学のなかで、どうしてもわからない部分に出会った時にはこの本の注意点を基本として学んでいこうと思う。今はビギナーなので大きなポーズを取ることはないと思うが、将来的にヨガがどうしても楽しくてしょうがない!と目覚める可能性も加味した上で買って良かった一冊。

#319 ヨガも独学で!な時代になりましたね

 『魔法のヨガ』B-Life著

動画を使ったヨガレッスンの指南書。

 

普段あまりテレビを見ない生活をしているとは言いつつも、見ていないのは日本の番組を見ませんよということで、実際はHuluで主に海外ニュースを見ており、なんだかんだと一日1時間半くらいはテレビを見ているような気がする。よく見ているのはBBC(英)やCNN(米)やTV5 Monde(仏)でBBCとCNNは日本語版もある。ちらっと見た感じでは同時通訳で原語と同じ内容を放送しているようだ。私は語学学習のために原語で見ているのだけれど、これが毎月1000円ちょっとで見られるなんてHuluはなんと太っ腹だろう!とかなり重宝している。

海外のニュースを見ていると、キャスター?アンカー?レポーター?にまず目が行く。TV5なんて出てくる人みんななんであんなにオシャレなの!?というくらいに美しい。BBCも知的さがにじみ出ている方が多く、自分が平たい顔族であるにも関わらず「よし、この方向で目指してみよう!」と画面に映る超絶美人高身長手長足長フランス人眼鏡女子を見て毎日モチベアップに勤しんでいる。

 

眼に麗しい人たちのおかげで自分のやばさに気が付き始め、まずはサイズダウンと姿勢矯正から!と心を奮い立たせた。ダイエットについてはもう食べる量減らして、砂糖食べない、ジャンク食べない、満腹度を少しずつ下げるという当たり前かつシンプルな方向に落ち着いた。それは昨日書いた通り。 

 

 

次は体作りだ。体作りといえば、最近は日本でも筋トレが人気のようでいくつも書籍が出ているようだけれど、今のご時世ジム通いは非現実的。通っている方もおられるようだけれど、私の家の近くでは新規会員を受け入れていないところもありまだまだコロナの影響は続いている。かといって毎朝4時に起きて時差出勤し、残業もあってなんだかんだと家についたらもう寝る時間とかなのに、一日のどこかでジョギングとか絶対無理。むしろフランス女子のようにジョギングとか「がんばってます!」系の運動ではなくヨガやストレッチを取り入れたり、食べるものをコントロールしたりという方向で進めたい。

 

一度海外でヨガ教室に通ったことがある。日本人の先生でとても楽しいレッスンだったのだけれど、先生がご帰国されることになり数か月のみ通って終わってしまった。日本に帰ったら教室通うぞと思っていたのだけれど、近所のヨガ教室は有名な先生が経営されているところで敷居が高く、その人気からあちこちから生徒さんが詰め寄せる。狭いところにぎゅうぎゅう詰めのレッスンの様子に一気に心が萎えてしまった。そのままヨガは「いつか機会があれば」とすっかり遠ざかっていたのだけれど、考えてみれば座禅して空中浮遊とかヨガフレーム出すくらいのガチなレベルを求めているわけではないので、動画や本でポーズを学ぶ独学でもいいのでは?と思うに至った。

 

最近は動画がめっきり便利になり、ちょっと検索したらたくさんのヨガ動画がヒットする。日本国内だけでもこの量だし、インドの動画チェックしたらヨガフロートのやり方とかアップされてるかも、な勢いだ。でも、私が目指すのは「正しい姿勢を作る」ことで、副作用として肩凝りが軽減されればいいな、くらいなので、日本語でヒット数の高いものを探してみたところB-LIFEさんのものに行き当たった。

 


試しにいくつか見てみると長いものでは1時間くらい、短いものだと数分でレッスンできるものもある。思い出したのが「太陽礼拝のポーズ」で、通っていた教室でレッスンが始まる前にみんなでこれをやっていた。手順がいくつかあったのは覚えているのだけれどもう数年前のことで詳細を思い出すことができない。これを毎朝やるのはどうかな?とチェックしたところヒットしたのがこちら。

 

 

お外でヨガ。憧れます。

 

やってみるとなんとなく思い出してきたので、今週から朝の日課に取り入れている。これで姿勢が良くなればいいなあ。そしてこの動画を見たことがきっかけで書籍があることを知った。それが本書だ。

 

本書は共著になっていて、奥様でインストラクターのマリコさんの実演とB-LIFEを経営するマリコさんのご主人による。マリコさんはもともとはバレエで活躍されており、その後インストラクターとしてヨガなどを教えておられたらしい。そのせいかとても分かりやすく、ポーズを取ることで体の中に芯のようなものが出来る感じになる。

 

書籍はどちらかというと動画を正しく使うための補助と言う感じで、求めている効果やレッスンの組み立て方などが添えられている。正直Youtubeだけでも十分に学習できると思うのだけれど、日々の生活にヨガを取り入れるという点は書籍のほうがわかりやすい。ヨガがメンタルケアに役立つという話はよくあることなので、そういうのいりません!な人には向かないかもしれない。

 

パラパラめくりながらポーズのポイントがわかったり、4週間プログラムなど日々の生活にヨガを取りれる流れが見えて読みやすかった。このまま毎日ヨガを取り入れていけばいつかはTV5レベルになれるかも!というモチベーションだけを心の灯としてまずは実行に移し、毎日のヨガを体が欲するようになることを目標としたい。

 

ちなみに。週末TV5を見ていたらこの方が日本でいうところのドッキリみたいな番組の司会をされておられ、あまりの美しさにドッキリの内容より彼女に見入ってしまった。これは年末の音楽番組の司会をされていた時のお写真。お名前はLaury Thillemanさんといいます。

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平たい顔族、ヨガがんばります。

 

 

#318 ダイエットに失敗して着る服がないのでこの本を読みました

 『小食を愉しむ』ドミニク・ローホー著

空腹との付き合い方。

 

この1年半、コロナ禍は私自身にもいろいろな影響を与えている。しかも限りなくマイナス方向に…。ぱっと目につくところといえばやっぱり身だしなみに関わる部分で、これに関しては全てが壊滅に走っている気がして、もう自分では手の施しようのないところまで来てしまっているように思う。ああ、ほんとどうしよう。

 

悪循環の極みの中で、まず一番はやっぱり体重の変化。いや、増加…。Before Covid19からなんと5キロ増です!5キロ、文章にすると「ああ、そんなもんね」なのかもしれないけれど、お肉屋さんで5キロの塊を、お米屋さんで5キロの新米を、スーパーで1リットルのオリーブオイルを見て「ああ、これが5本か」と改めて5キロの重みに愕然とし、小さな抵抗程度の軽い食事制限をしてみたりするも逆に増加に反発、悲しすぎる日々であった。

 

この春から普通に出勤し始めた途端、「着る服が無い!」という事態に陥った。去年1年は在宅勤務がメインだったのだけれど、上司が変わったことや周りの雰囲気が「マスクしておけば安心」とちょっとダレてきたこともあり今年の春からは時差通勤を実施していた。考えてみたら、一昨年は断捨離せねばという気持ちが強く洋服を買うことをやめていたので、手元にある洋服がそもそも流行遅れになっていた上にサイズ感がおかしなことになっているので似合わないことこの上ない。しかもいい感じのものほど入らない…。

 

ということで、買い足したましたよね、新しい服をネットで。本当はいちいち試着したいと思っていたけれど、コロナ禍の折にショッピングというのもなあとそこは自制心が働いたのと、店舗縮小などを余儀なくされている日本のアパレルブランドさんに貢献したいという思いが沸々と湧き上がり、ネットでいくつか買ってみることにした。特にサイズがやばいボトムスと流行を反映しがちなトップス(夏なので半袖メイン)を購入。セールやってたりで結構な数を購入したけれど予想よりも出費がなかったのはありがたい。

 

今回購入したアパレルサイトさんでは高身長・低体重の素敵なモデルさんの写真のみならず、ショップの店員さんの着こなしも見られるという優れもので色や着丈などをネットでもチェックできるというのがありがたかった。店員さんは身長を公開した上で写真をアップしている。サイズを公開している方もおられるので大変参考になるし、そこはショップの方だけにコーディネイトも秀逸。よし、いける!と思った服を購入したつもりだったのに、到着したお洋服たちを早速試着してみるとどうもなんだか似合わない。

 

やはりネットだと実物と違う点が出てくるのは仕方がない。その差異を受け入れてのネット購入なので気に入らなければ返品すれば良い話だけれど、セール品だと返品が利かないとか送料がかかるなどのデメリットがある。そもそも私の場合は届いた服を今すぐ着なくてはならないほどに切羽詰まっていたのですぐにタグを切り、お洗濯してワードローブにセットした。ピンとこなかった原因だが、色や形や素材感が微妙に自分が考える「似合う」からずれており、店舗で見てたら多分買わないだろうなあなレベルだったことがあげられる。でも自分が「似合う」と思っていたものはBefore covid 19の3年ほど前のものなので、服の問題ではなく今の私の肥えっぷりのせいで似合わないという事実も大だ。なので「いやいや、待て。これが今の流行なのだ」と言い聞かせ、目に慣れるまでいろいろ着方やコーディネイトを考えつつ、また追加購入なんかもしたりして迫りくる夏に備えているところ。

 

よく年齢の節目になると「今まで来ていた服がに合わなくなった」という話がある。10代から20代はそう多くはないのかもしれないけれど、学生から社会人へというところで一気にワードローブが変わってくるはず。そして20代から30代へ、30代から40代へと10年刻みで変化があるのか書籍を見ても10年区切りのアドバイス本がいろいろと出ている。それは加齢による体の変化に伴うもので、洋服、メイク、生き方、勉強法などなど自己啓発に至っては「こんなことまで?」な分野も多い。私はその10代刻みの節目ではないのだけれど、確実に体重増加と怠惰な生活による身だしなみへの関心の薄れから「似合わない」現象が起きていると確信した。

 

料理も好き、食べるのも好き、となると動かない今のようなタイミングではどんどんと余計なものが体に蓄積される。食べた分のカロリーをその日のうちに消化できないでいるから、ちょっと食べただけのはずがどんどんと貯肉されてしまい、翌朝起きたらびっくりするくらい顔がむくんで体重増えてた!なんてことになるわけだ。

 

本書はたまたまそんな時にネットで見かけた1冊で、すでに著者の作品にはかなりの信頼性を置いていたことから即購入した。著者の作品は断捨離が流行りだす前で、まだ海外に住んでいた時から愛読している。ライフスタイルにおいてはフランスの考え方に共感することが多いので、早速取り入れ始めている。

 

著者は「無駄」というものを徹底的にカットする生活をされているのだけれど、どの作品にも「わたくしの生き方」という自分が選択したのだという意思の強さが感じられる。本書は9章に分かれており、一つ一つの項はさっと読める長さにまとめられている。読み進めるごとに納得させられ、他の作品を読んだ時もそうだったのだが、一つの項に込められたメッセージがあまりに強力すぎて、ふと本を読む手を置き「自分はどうだろう」と考えさせられる不思議さがある。読んでは考え、読んでは考え、と読むのに時間がかかった。これは私に必要かどうか、この素晴らしい考え方をどう自分に反映させるべきか、などさーっと最後まで読むというよりはかみ砕くように読みたくなる。

 

この作品は「小食」がテーマとなっているが、やはりどこか哲学的な面もあり「どう生きるか」という大きな本流が後ろにある。著者の主旨は体に合った良質の食べ物を体が真に欲する量をわきまえて食べろ、ということで、それを実行するためのティップがいくつも添えられている。それがあまりに正しいというか、論破なんてできないくらいに説得力がある。

 

たしかに食べきれない量をお皿一杯持ってきて、満腹を超えても食べ続けることの害はよくわかる。でも、良質のものを少なく食べるというのは頭ではわかっていても実行できない時があり、それは心の問題なわけでどう意思を強く保つかも読みどころの一つ。またそのような食事が与えるマイナス点を丁寧にさらっていくので、読んでいるだけで「ああ、やめなくちゃ」と思えてくる。

 

ためになった点は数知れずだけれど、外国人の著者ならではの視点で日本の食育についてコメントされているところに「なるほど」と逆に教えられた。なぜ日本人は手に食器を持って食事をするのか、なぜたくさん噛むように教えられるのか、子供の頃に聞いたような聞かなかったような分野の回答があり早速実行しようと思う。

 

ひとまず、これからは「もったいない」の流儀を変えていかなければと思った。もったいないから残すではなく、もったいないから多く作らないという方法にチェンジの予定。