猫猫、またもや西都へ!飢饉はどうなる!?
こういうライトノベルは1年に1冊くらい続編が出てくれるので嬉しい限りなのだが、コロナ禍があってからというもの時の経つのが早いのか遅いのか、家と会社の往復or在宅勤務を続いて行った間なんて季節感すらわからなくなりつつあったし、在宅勤務中は曜日の感覚すらなくなりつつあった。1年が早かったのか遅かったのかもわからなくなってきて、「〇〇の件っていつだったかな?」と直近の出来事の時間感覚がかなりずれているような瞬間がある。本書も10巻目が出て割と早い段階で購入していたのにも関わらず、最初の数ページを読んでも内容が思い出せない。たしかに1年前の作品で、それほど時間を開けているわけでもないのに、だ。コアな登場人物は覚えているけれど事件を起こした人たちなどはぱっと出てきてぱっと散っていくので名前どころか事件の内容もすっかり忘れている始末。時空が歪んでいるのか、私の感覚がダメになっているのか。
ということで、8巻目あたりまで遡り再読してからやっと10巻目に到達。ストーリーを思い出すための復習読書だったけれど、とても楽しく読むことができた。むしろ新鮮に再読できて2度おいしい気分である。
舞台は昔の中国を思わせるような設定で、茘(リー)という国の王室が舞台。後宮には王に嫁いだ姫君が住み、侍女たちが働いている。皇帝には歳の離れた弟君がおり、月の君と呼ばれている。月の君は絶世の美形で女性かと思わせるような容姿で、王室の一員として働くことを厭い、一時宦官に変装して政に携わっていた。
もう一人の主人公が薬屋である猫猫だ。猫猫(マオマオ)は花街に暮らす薬屋だ。医学に明るい養父の教えに従い、薬師としての腕を磨いている。猫猫の母親は女郎だった。しかし猫猫が幼い時に病を発症してしまい、猫猫は養父の元にあずけられる。
そんな猫猫が後宮へ働きにいくことからストーリーはどんどんと面白くなる。もともと聡い猫猫には同じくらいの年頃の子には見えない「世の中の裏」を理解する知恵がある。後宮にはその類の裏の世界が広がっており、猫猫は知恵でもってトラブルを解決してしまう。華麗に対応していく猫猫に目を付けたのが宦官として身分を偽っていた月の君だ。
10巻ではすでに月の君は皇帝の弟として政に携わるが、信用できる者として猫猫を側に置きたがる。また猫猫の養父の実家である羅の家もクセがありすぎて面白い。猫猫もまた羅の血を引く人間なのでこれまたキャラが面白すぎる。
今、バッタが大量に発生して国の穀物を食い尽くすというトラブルが起きている。10巻ではそれを実際に目にした猫猫と月の君が姿までが書かれている。11巻ではきっとバッタ問題にも何か明るい兆しが見えてくるだろう。
漢方的な薬の話も面白いし、読んでいると気持ちに張りが出てくる作品。11巻目も楽しみだ。